PKMN×PKMN小説を求めて(6/?) 附:『ポケモンラブホ物語(笑)』

 「ポケモンラブホテル」スレが立てられたのは、繰り返しになるが、2001年3月4日深夜のことである。「2ちゃんねる」にポケモン専門板、いわゆる「ポケモン板」が開設されたのは2000年11月5日。翌2001年の1月には携帯ゲーム機の話題全般を扱う「携帯ゲーム・ポケモン板」となっている。ちなみに、これもまた繰り返しになるが、『ポケットモンスター』全般のエロパロを投稿する「ポケモン」スレの誕生が2001年の12月23日であり、そのうち特に「PKMN×PKMN」に特化した「PKMN不思議のダンジョン総合スレ」(「PKMN同士総合スレ」)の設立は6年近く後の2007年9月28日であった。
 2001年当時は「PKMN×PKMN」どころか『ポケットモンスター』自体のエロパロないし小説を書くこと自体が躊躇われていた。1999年に起こった「ポケモン同人誌事件」の余波は、当時のレス内容のあちこちに感じられ、公然とポケモンでエロを書いたら通報される、というような意識は、ぼんやりと共有されていたようである。そんな時期に、「PKMN×PKMN」小説が書かれていたのはやはり先駆的だ。
 「ラブホテルスレ」が立った翌日の夕方、「物語」という形でポケモンへの愛を表現する者が現れた。実は、この小説が投稿された背景には、同時並行的に進行していた別のスレも関わっているのだが、詳細は後に回す。
 とにかく、これがネット上に現存する最古の「PKMN×PKMN」小説である可能性がある、ということの重要性に鑑みて、密かに全文を引用させていただきます。もちろん二次創作でしかも20年近く前の作品とはいえ、他の誰かの著作物ではあるのだが、本作がこのスレを除いては読むことができない事情も合わせて、保管しておく意味はあると言い訳させてもらう。
 一応、末尾にリンク先とレス番号も付けておくので、興味のある方はそちらも参照していただければと思う。
 タイトルは『ポケモンラブホ物語(笑)』。サンダース♂×シャワーズ♀のSSである。官能描写あり。3月5日から翌6日にかけて、3回に分けて投稿された。読みやすいように、一部作者によるコメントはカットし、各回の冒頭に数字を付しておいた。


ポケモンラブホ物語(笑)』

1
ここはポケモンラブホテル、
ホテルのロビーではシャワーズが周りを
見回しながら落ち着かない様子で待っている。
どうやらここで相手を待っているらしい、
しばらくしてシャワーズは何かを見つけ立ち上がった
視線の先にいたのは一匹のサンダースだった、
「おうっ!またせたな!」
「ちょっと・・大きな声出さないでよ・・しかも遅いわ・・」
「わりいわりい、ちょっくら用事があってな」
「ほんと恥ずかしかったんだから・・みんな見てるし・・・」
「ああ、おまえ人気あるみたいだな。で、いいんだよな?」
「う・・うん・・・」
「後で文句いうのなしだぜ?」
「・・わかってる・・・」
その言葉を聞くとサンダースは受付へと向かった、
「一部屋お願いします、代金はこのトレーナー宛で」
「失礼します、少々お待ちください」
そういうと受付はサンダースから渡されたカードを
カードリーダーに通して内容を確認した、
「了解いたしました、お客様の部屋番号は214号です」
そういって渡された鍵を受け取ると二人は
二階へと向かうエレベータに乗り込んだ

2
「214・・・ここか、よいしょ」
サンダースはポケモンでも使えるように作られた
ペンダント型のキーをドアにかざした、
ピピー・・ウイイイイン・・・
ドアは自動的に開いて、二人は中に入った、
シャワーズ、身体洗いにいこうぜ」
そういうとシャワーズをシャワールームへつれていった、
シャワーズ・・そう緊張するなよな?」
「ごめん・・・初めてだから・・こういうの・・」
「誰でも最初は初めてさ、ほら、かけるぞ」
シャアアア・・・・シャワーの音が浴室に響いた、
「あ・・・ねえ・・・あつい・・・」
「おお、わりいわりい、おまえは水の方が良いんだったな」
そういうとサンダースはシャワーの温度を調節した、
「うん・・ありがとう・・・でも冷たくない・・?」
「俺?俺様は全然大丈夫さ、それよりよく洗えよ?」
「うん・・・・・ふふ♪サンダースかわいいね」
「はあ!?なにいってんだおまえ?」
「いや、ほら、毛がさ」
「ああこれ?濡れると毛がねちまうんだよな・・・」
「ふふふ♪そろそろ出ようか?」
「ああ」
サンダースはシャワーを止めると身震いした、
シャワーズの緊張は随分ほぐれたようだった、

3
シャワーを浴び終えると二人はベッドに上がった、
「あのさ・・サンダース・・本当は私のことどう思ってるの・・・?」
「・・・大好きだよ・・・なんかいろいろ意地悪もしたけどな・・・」
シャワーズはサンダースの気持ちを確かめたあと安心して彼を受け入れた、
サンダースはシャワーズの背中に乗り上がると腰を動かし始めた、
「あっ・・・・・サンダース・・・」
「どうかしたか・・・・?」
「う・・ううん・・・別になんでもないんだけど・・・」
「そうか・・痛くないか・・?」
「うん・・だ・・だいじょうぶ・・あっ・・」
シャワーズはバックから責められて声を出すのを我慢しているようだった、
「声出すの我慢しなくていいんだぞ?」
「うん・・でも・・・はずかしい・・」
「大丈夫・・・誰も聞いてないさ・・」
「そうね・・あっ・・あっ・・気持ち・・いい・・・」
「・・うっ・・そろそろいくぞ・・・」
「・・待って・・・もう少し・・・お願い・・・」
二人はしばらく続けていたが今度はシャワーズが限界だった、
「ん・・?そろそろいくか・・?」
「・・おっ・・お願い・・・・」
サンダースは腰を激しく動かした
「あっ・・あっ・・あっ・・あんっ・・・・・・」
「・・俺も・・・・・うっ・うっ・・・・はあ・・はあ・・・」
しばらくの間沈黙が続いたが二人はシャワーを浴び、外へ出た、
「料金はトレーナーの方に、ですよね?」
サンダースは横目で挨拶すると二人でホテルを後にした、
「・・・そろそろメシの時間だな、シャワーズ、俺が案内するよ」
「そうね、何か美味しいモノ食べたいわ」
「だったらいろいろ食べ歩きするか・・・」
二人は夕方の繁華街へと消えていった、肩を合わせて・・・


出典:「ポケモンラブホテル[R-15]」レス番号31、46、58 https://game.5ch.net/test/read.cgi/poke/983717029

PKMN×PKMN小説を求めて(5/?)

 「PKMNのエロ小説」に投稿された『ピカチュウ♂×イーブイ♀』をきっかけとして、現在の「PKMN小説wiki」が形成されていったことは前に書いた。
 そのSSがネット上に発表されたのが2007年5月4日〜7月1日にかけてであり、『ポケダン時・闇』の数ヶ月前には、「PKMN×PKMN小説」の土壌が出来上がっていたことは、特筆すべきであるし、『ピカチュウ♂×イーブイ♀』、作者の333氏のよる正式なタイトルは『ピカチュウイーブイ』、がPKMN小説における金字塔であることは疑うべくもない。ということで、今作が現在でもアクセスが容易な「PKMN×PKMN小説」としては最古であり、かつ、現在に至るまでのPKMN小説の(腐的な表現を使えば)「原点にして頂点」である、と言って差し支えないと思う。
 しかしながら、現存最古、となるとまだ探求のしようがあった。きっかけは、ポケモンエロパロ板(「PKMN同士総合スレ」ではなく、『ポケットモンスター』全般のエロパロを扱ったスレ『ポケモン』の方。スレ立ては2001年12月23日)のとある書き込みだった。

 

60名前:名無しさソ@ピンキー投稿日:02/08/22 13:30 ID:f/fV63pr
ポケ×ポケの小説は携帯版のラブホスレに……
(出典:「ポケモン」レス番号60 http://eroparolog.x.fc2.com/log/pokemon01.html

 

 これだけだと何のことかわからなかったのであるが、2014年以降、2chの過去ログは無料で閲覧できるようになっていたため、『ログ速』(https://www.logsoku.com/search)で「ポケモン ラブホ」で検索してみたところ、問題のスレを発見したわけである。
 『ポケモンラブホテル[R15]』。
 スレタイからはどういう趣旨のスレか、想像しにくいと思われる。レスを確認する限りでも、スレの趣旨ははっきりとしないのであるが。当時別に存在したポケモン系のエロスレから分離、ないし隔離されたものであるらしい。

 

1:支配人:2001/03/04(日)23:43
 ポケモン愛のスレッドです、
 当然人間もポケモンのOK!
 はい!お一人様ご案内〜
 ps:一応[R-15]つけときます、

 

 エロスレとの違いについては、スレ主はこう書き込んでいる。

 

4:支配人:2001/03/05(月)00:09
 あちらはサイト張りですが
 こちらはお客様に楽しんでいただくスレッドです

 

 メインのエロスレは、他サイトへのリンクばかり張られているが、ここはスレ内で純粋にポケモンを積極的に愛でたり、エロを見物しようという場ということで、「ラブホテル」というシチュエーションが考えられたものらしい。ちなみに、2号店(2スレ目)以降のテンプレだと、その趣旨は明確になっている。

 

1:2代目支配人:02/05/06 01:17
 ポケモン愛のスレッド2号店ついにオープン。
 ポケモンを愛でるもよし、営みに見入るもよし。
 禁断の恋をしたあぶない人達のスレッドです。
 正常な精神を持った方々に迷惑をかけないよう
 是非ともsage進行にご協力お願いします。
(出典:「ポケモンラブホテル2号店[R-15]」レス番号1 https://game.5ch.net/test/read.cgi/poke/1020615465/

 

 「禁断の恋」という古めかしい常套句に含まれるニュアンスはさまざまである。そこにはポケモンそのものに対するエロも含めた愛情だとか、今では誰もが当たり前に、日々SNS上で吐露しているものが現れているのだが、当時そういうものはこういう辺境的なスレで密かに語られるものだった。
 「ラブホテル」というシチュエーション自体は、同時期に存在したなりきりスレの流れを汲んだものではないかと思われる。同スレでも「イーブイカフェ」とか「ピジョンスレ」などへの言及がある。スレ主が特定のポケモンになりきって、スレ住民と交流する性質のものであり、「ラブホテル」スレでも当初はスレ主である「支配人」なる人物が取り仕切っている。
 この「ラブホテル」という設定だが、「ラブホ」という空間は、アダルトで妖しい印象が一般的に持たれていた。レス中にも、ラブホテルを風俗の一種と混同するレスも見られる。通常のホテルと比較して安価な上に内装も豪勢で各種サービスも充実しているところに目をつけて、女子会やオフ会に利用されるようになるのは、随分先の話だし、「ラブホ」は当然、性行為の場として想定されている。
 さらに、第二の当然として「相手」が必要になっていく。開設当初にも「支配人」はこうレスしている。

 

9:支配人:2001/03/05(月)00:57
 [レス一部省略]
 こちらでお相手を待つこともできますので
 お相手を連れてなさらない場合は
 当ロビーでお待ちすることもできますので
 是非ご利用ください。

 

 性行為をするのであれば、当たり前だが相手が必要である。一人カラオケも、一人焼肉もない時代に、一人ラブホなんて論外である。ところが、「ラブホ」という設定のおかげで、「ポケモンラブホテルスレ」は思わぬ収穫を得ることになったのである。つまりは、偶然にも「PKMN×PKMN小説」を投稿するコミュニティが、ネット上におそらく初めて出現したのである。
 ちなみに、念のためtwitter上で「ポケモンラブホテル」と検索をかけてみたところ、言及している方が何人かおられた。おそらく自分よりも一回り、もしかしたら二回りのポケモナーなら、ある程度記憶されているのかもしれない。とはいえ、そこで享受されていた作品群は、過去ログを参照しなければ、読むことができない上、時間を置いて投稿された場合がほとんどで、今から読むには煩雑な面がある。ネット掲示板特有のライヴ感ゆえの難点である。
 繰り返すがこのスレが立ったのは2001年のことである。PKMN同士の小説コミュニティが発達したよりも6年早く、『ポケダン』の誕生よりも4年早く、PKMN同士を絡ませるという発想が存在し、しかもSSという形で実際に表現をしていたという事実があり、それが20年近く経った現在も削除されずに残っていたことは重要である。
 というわけで、今後しばらく「ポケモンラブホテルスレ」の盛衰を追いながら、忘れられた「PKMN×PKMN小説」を発掘・紹介していこうかと思っている。その中には、『ルビー・サファイア』発売前後のポケモン事情を考慮しても、目新しいカップリングや、完成度の高いものも含まれている、だろう。

出典:「ポケモンラブホテル[R-15]」 https://game.5ch.net/test/read.cgi/poke/983717029

PKMN×PKMN小説を求めて(4/?)

 個人的な道楽で、自分が活動しているPKMN小説のうち、さらに細かな1ジャンルと思われる「PKMN×PKMN小説」の過去を、小論的に簡単に跡付けようとしているわけであるが、なぜ、そんなことする必要あるんですか? と言われた時のための口実も、この際、明確に決めておくことにした。
 カッコよく言えば、「twitter的刹那主義」に対するささやかなカウンター、である。
 1年twitter使ってみて、楽しいことはたくさんあれど、閉口させられるのが、その異常な「速さ」である。よくネットリテラシーの話で、情報の「量」が問題にされることは多い。大量に出回る情報を分類・精査し、正確な知識を得よう、フェイクには騙されるな、というアレである。にもかかわらず、世の中は相変わらずフェイクに振り回され続けている。なぜか、って言えばそこに「速さ」への問題意識が欠けているからだと個人的には思っている。
 膨大な量の情報が、凄まじいスピードでTLに飛んでくるのである。一つ一つの情報の真偽を判断することは簡単だ。ちょっとグーグルで調べればすぐにわかる案件も多い。しかし、その程度の情報でも1分に100件同時に来られたらどうだろうか。関心ない情報は無視するにしても、仕事が多忙で、いちいち調べるのもままならないとしたら?
 白状するが、リオオリンピックの時、吉田沙保里の中国での愛称が「絶望」だっていうデマ、見事に騙された。その程度だったら可愛いもんだろう、とは思うんだけど、それでも間違った情報を信じてしまったことには違いないから、なんかイヤだ。
 だが、そんなことをいちいち反省したりするまもなく、また新たな情報が目に入ってくるのである。そう、まるでミサイルのように。
 これはどでかい社会的な問題だと思うのだけど、ファンアートというミクロな領域ではいっそう深刻になる。PKMNに限ったって、毎秒ごとに誰かが何かのイラストを描いて、twitterに投稿している。人気絵師ともなれば、数分で1000近いRT・いいねがつくことさえある。ある時、TLに流れてきた某大手絵描きのブイズ絵をぼんやりと見ていたが、いいねのカウントが選挙の開票速報みたいに増えていって、スゲーとなる一方で、なんか複雑な気分にもなる。
 字書きは絵師と比べて伸びねえ、みたいなコンプレックスも少なからず含まれることは認める。でも、やっぱり感じるのは消費って一瞬だな、ってことである。これは多分絵師側だと気づきにくいかもしれない。でもいいねしてる側のTL見てみればすぐにわかるはずだ。とにかく、いいねが多いし、何より「速い」。
 いいねした人間のうち、そのイラストを1分も眺められたやつが、どれだけいるだろうか。10秒だって怪しいんじゃないか。かく言う自分もいいねすることあるけど、やっぱり消費してる感じがしてならなくて、押しにくいと思うことがある。気軽だけど、何かが違うような……? 
 とにかく、twitter的な「速さ」ってのは問題だらけのような気がしてならないのである。あそこには極端な話、「今」しかない。それも、火花のように弾けて、瞬く間に過去になってしまうような、虚ろな「今」だ。そこで、あらゆるコンテンツを消費して、すぐに忘れて、また同じようなものを消費して……みたいなのを延々と繰り返す。果たして、そんなところで何かが、持続しうるんだろうか?
 ということで思い立ったのが、「今」というのが「過去」の積み重ねであるという、極めて単純な真理を再確認することなのであった。今の2020年から遡り、「PKMN×PKMN」小説っていつから書かれていたのだろうと探ってみるわけである。
 2010年、2007年辺りまでは簡単に辿ることができた。しかしもっと調べていくうち、さらに2001年に書かれた「PKMN×PKMN」のSSを発見して、ちょっと舞い上がった。その上、もっと古いものが過去ログに眠っているかもしれない、という可能性も出てきたのである。字書きがてら、さらに探索してみたい所存である。
 それに最古のものでなくとも、昔のSS群に触れることで痛感させられたこともあったのだが、その辺りはまた別の時に書こう。

PKMN×PKMN小説を求めて(3/?)

 トレーナーのエロを含まない、純粋なPKMNのカップリング小説が本格的に盛んになったのは、書き手と読者のコミュニティがネットの各所で確立されていった2000年代後半であることは、間違いがないと思う。何より重要なのは、作品を保管していつでも閲覧できる場所が、この時期になって初めて整備されたということである。
 そのおかげで、2020年になった今も、当時書かれた熱気ある作品群にアクセスすることができるわけだが、そうなると、現状残されている作品の中で古いものは何か、ということを調べてみたくなってしまった。
 「pixiv小説」については前回書いているのでいいとして、「小説スクエア」だが、設立は2005年と小説サイトとしては最古なのだが、検索してみる限り、2000年代のものを見つけることができなかった。古くとも世代としては『BW』〜『XY』の辺りである。本当はもう少し時間をかけて調べるべきなのだろうが、「スクエア」は基本的にカップリング要素を重視しないところなので、最古を探すという、ここでの自分の関心とは少しずれる。
 すると、残ったのは「小説wiki」の前身である「PKMNのエロ小説」スレと「PKMN同士総合スレ」となるし、設立は前者の方が半年早いため、そちらを見ることにするが、一応「PKMN同士総合スレ」も保管庫と過去ログ含めて確認すると、本格的なSSは2スレ目の『ゲンガー♂×サーナイト♀(ポケダン救助隊・探検隊設定)』が初だった。日付は2008年2月16日なので、スレ立てから半年近く経っている。
 本題の「PKMNのエロ小説」スレだが、初期はトレーナーもののエロが混在しているものの、スレの性質はかなりストイックであり、早い段階から多くの字書きが集まって、作品の投稿や交流が行われていた。同じネット掲示板でもカジュアルな2ch系と、より先鋭的なふたば系の違いだろうか。333氏の『ピカチュウ♂×イーブイ♀』もスレの最初期に投稿されている。1話の投稿が2007年5月4日、ただし完結は少し時間が空いて、7月1日。その間にも次々と他の作者が参入しているが、明確に完結したのも本作が初めてである。
 この方に触発されるように、続々とポケ字書きたち(その中には現在も活動され、個人的にも私淑しているK氏も含まれている)が現れ、競うようにSSを投稿したことで、333氏の作品を中心にそれらの作品をwikiにまとめようというムードがごく自然に出来上がり、6月11日には旧「PKMN小説wiki」が成立することになる。

PKMN×PKMN小説を求めて(2/?)

 PKMN小説に関する主だったコミュニティである「小説wiki」「小説スクエア」「PKMN同士総合スレ」について書いた。さらに数年遅れる形で「pixiv小説」のサービスが正式に開始されたのが2010年7月30日のことである。前の3つと比べると、コミュニティとしては緩いため、気軽に投稿できるのが利点。他サイトの盛況と合わせると、PKMN字書きとその読者の人口はこの時期、一気に増えた(だろう。個人的体験だが、「小説wiki」の作品を読み漁るようになったのもこの頃だった)。というわけで、念のため、pixiv界隈も言及しておくことにする。
 まず、作品規模。単純に「ポケモン」でタグ検索すると46314作品(2020年10月8日現在)であるが、この中には当然腐向けを中心に人×人、人×ポケモンが少なからず含まれているし、その時々で流行しているジャンルとのクロスオーバーものも相当数ある。ポケモン自体が巨大なジャンルであるため、書き手のポケモンへの知識関心はまちまちで、『赤・緑』程度のポケモンしか知らないという層も大勢いる。
 ついでに言うと、検索避けのためにあえて「ポケモン」タグを使用しない場合も多く見られる。代わりに「pkmn」といった所謂TDN式表記を用いたり、「ケモホモ」などの嗜好・フェチ系のタグで代用する、あるいはそもそもタグ自体をつけないというパターンも見られる。故に、pixiv内の「PKMN×PKMN小説」の総数は正確には調べ難いし、さしあたって自分の関心はそこにはないので細かいことは考えないようにする。
 ひとまず、「ポケモン」でタグ検索した場合において、pixiv上に残る最古の「PKMN×PKMN小説」は某氏(現役だし、twitter上で繋がっていただいてるので一応某としておきます)の『レントラー♂×ルカリオ♂』とみて大体間違いないと思われる。その後、念のため、ピカチュウやブイズといった人気ポケモンでも検索をかけてみたが、これよりも古い作品は見つけられなかった。またR18に関しても同じ某氏の『リザードン♂×ボーマンダ♂』が最古。いずれも、サービス正式開始直前の2010年7月29日深夜に投稿されている。
 今探っているのは現存する最古の「PKMN×PKMN」のSSであるから、pixiv小説は最初から探求の対象ではないのであるが、今のところ拠点にしている場所であるから、念のために調べさせてもらった。pixivというのは、住宅でいえばアパートみたいなところである。自治会みたいなものがなくて気楽な分、同じジャンルで活動してる相手がなかなか見えてこない。活動人数は国内最大規模なのだろうが、その中で個人的に交流のある字書きは片手で数えられる程度なのである。つくづく、SNSのくせにSNSとして機能していないよな、と愚痴る。

「フォロワー4〜5桁、フォロー2桁」というこの世の地獄について

 んー、なんかモヤっとしたので書いてしまう。深夜のひとり学級会、はぁじまぁるよぉ!
 なかなか感想が貰えないことにモヤモヤするというのはとても共感できる。字書きだとなおさら、閲覧数だけが積み重なって、感想どころかいいねも来ないとなると、やっぱりすごく不安になる。小説って正直、面白いのか面白くないのか、自分では判断が難しいもんなんで。「面白かった」っつう一言だけでも随分と励みになるのだ。
 承認欲求? 自己顕示欲? まあまあ……そりゃ、強すぎてもアレだけれど、適度には必要っす。悩みのないヤツです、ってカービィみたいに紹介されても、それはイヤでしょ? そもそも、自作を公にするってこと自体、ある種の反応を求めてるってことだ。ヘンリー・ダーガーみたいなこと、誰もができることじゃ到底ないんだからさ。
 だから誰しも反響を求める。反響があれば嬉しいし、黙殺されると悲しい。そう考えれば、感想それ自体は「善」と言える。まあ、アンチコメとか、セクハラじみたクソリプなんかはその限りじゃないのかもしれないけど、原則として。
 つまり、つまりだよ! 感想貰っといてキレ散らかすっておかしいだろうよ、おめえよお、という話だったのである。私、本当は目撃したんです、さっき、twitter上、TLで、唐突にフォロー外された人と、外したヤツのキレ散らかし。私、驚いてしまって、助けもせず叫びもしなかった、ただ怖くてブログに逃げました、私の敵は、私です(?)……ファイトォ!
 非常にややこしいのは、キレた原因と思われるリプをしたヤツと、フォロー外された方とは、全く関係がないということである。感想もらった側が勝手にキレて、突然関係ない相手をリムったということである。
 なんだかなぁ。その心理ってわからなくはないんだろうけど、自分には微塵も共感できないなあ。人生辛いだけだと思うけどなあ。まあ、いきなりタメ語でリプされたり、へんちくりんなこと言われたりしたら「ん?」ってなるかもしれないけど。黙ってスルーかブロックすりゃいいだけの話だし、いちいちキレてどうするのさ。
 そもそも、感想に質を求めるって、作者のとる態度として阿呆である。どんだけ相手がトンチンカンだろうが、読み手の感受性を支配しようって思考は、ちゃんちゃらオカシイ。ましてや、思うような評価されなかった苛立ちを、無関係の他者にぶつけるとか論外である。
 つまり、ヤマカン理論である。お前、その域に達してないぞ。twitterより適した表現場所、あると思うんだけどなあ。交流する気ないくせに、なんでSNSやってんのかなあ。表現って、そんな安っぽいもんで、いいのかなあ。

PKMN×PKMN小説を求めて(1/?)

 先日、繋がっている字書きの方が、かの「PKMN同士総合スレ」の話をされていて、自分も懐かしさのあまり色々おしゃべりをしていたのである。
 PKMN×PKMNの小説を投稿する場となると、主だったサイトでは「PKMN小説wiki」とか「PKMN小説スクエア」とかがあがる。ざっくり言うと前者はエロパロ寄り。後者は健全寄りで、カップリング要素も薄く、純粋なストーリーものが多い印象である。それに加えて、かつては2ch(現5ch)にもそういうカップリングもの、まあ大半はエロパロなのだが、を投稿するスレが存在していた。
 そもそも、「小説wiki」自体も昔ふたばに立てられた「PKMNのエロ小説」(「イーブイ・スタジオ小説版」時代には「PKMNの官能小説」)というスレに投稿された作品の保管庫として作られた、という経緯があるようである。初めのスレが立ったのは2007年4月22日。以降2008年頃まで活発に更新されていた。「小説wiki」での初めての大会が2009年3月なので、その辺りまでに「小説wiki」が作品の保管庫から、投稿の場へと性質を変えていったことがわかる。
 「小説スクエア」の方は個人的に疎くて申し訳ないのだが、本サイトに沿革のページがあったので、参照すると、原型にあたるサイト「ポケモントップインフォメーションセンター」の設立が2005年9月。翌月には「ポケモン情報エリア」と改名。当初、小説はコンテンツの一つに過ぎなかったが、翌2006年の7月には小説専門サイトとして再スタートしている。
 そして「PKMN同士総合スレ」のスレが立ったのは2007年9月。こちらは元々2chに存在した「PKMNエロパロ板」から派生する形で立てられている。過去ログを辿るとスレ立ては2007年9月28日で、当初のスレタイは「PKMN不思議のダンジョン総合スレ」。本スレのやりとりを読む限り、約2週間前の9月13日にあの『ポケダン時・闇』が発売されたことを受けてのようだ。そして3スレ目で「PKMN同士総合スレ」と改名。最盛期は2009〜10年で、この期間で全体の2/3にあたる12スレを消費している。
 2009年というと、『ポケダン空』が同年4月18日に発売。「てんさいププリン」や「あんこくのみらいで」などの名エピソードの初出。9月12日には当時散々望まれていた『金銀』のリメイク『HGSS』が満を持して発売。2010年の9月18日には第5世代『BW』がリリースされ、初回特典のビクティニ効果で史上最高の初動255万本を叩き出す。ゼクロム、レシラムを筆頭に、ジャローダペンドラーバチュルゾロアークサザンドラ……といったポケモナー的エースを数多く輩出している。ちなみに言うと、新規ポケ数は156種で史上最多。
 これがエロパロ板最盛期の時代背景である。以降も更新は続けられたが、緩やかにスレ消費ペースは落ちていき、末期には萌え語りばかりの喪男スレと化していた。最後の書き込みは2015年2月2日。「ボーマンダと組ませるなら、誰がいい?」である。