『ポケモンXY』と2013年の任天堂

 『ポケットモンスターX・Y』が今日で発売から7周年だそうだ。7年というのはゲーマーにとってはちょっとした節目である、と個人的に思っている。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』において、子供リンクが大人リンクになるまでに要する年月に等しいからである。
 当時は任天堂不振が叫ばれていた。前年末に発売されたWiiUが、その直後から慢性的なソフト不足に陥って、売り上げが伸び悩んだのである。任天堂自体も、ローンチの『New スーパーマリオブラザーズU』から『ゲーム&ワリオ』まで3ヶ月を要していた。その次の『ピクミン3』までにまたしても3ヶ月。あと見るべきものというと、9月の『風のタクトHD』と11月発売の『スーパーマリオ3Dワールド』くらいである。
 ソフトラインナップを振り返ってみると、なかなかに惨憺たる状況だったことがわかる。この年のWiiUは、バーチャルコンソールで凌いでいた、と言ってもいいくらいだ。『MOTHER2 ギーグの逆襲』が初めて現行機で配信されたのもこの年であった。『Splatoon』の華々しいデビューは、2年先の話である。スマホゲーム隆盛の中で、一部のメディアやアナリストに、赤字続きながらスマホに消極的な任天堂はよく詰られていた。まあ、今の任天堂の絶頂ぶりを見れば、それがいかに浅く、長期的な視野の欠如した指摘だったかわかるのだが。
 一方で3DSの方はと言えば、こちらも前任のDSシリーズに比べれば絶好調とは言えなかったのだが、昨年の『とびだせ どうぶつの森』のおかげでかなり持ち直していた。発売直後の頃のような大不振からは、ようやく抜け出せたといったところで、『ポケモンXY』の登場だったのである。
 その『XY』。『SM』やら『剣盾』を経た後に振り返ると、『赤緑』から続けてきた従来のスタイルのポケモンがあの段階で煮詰まっていたことが感じられる。ジムバッジを8個集めながら、ひでん要員も意識してポケモンを捕まえつつ、ついでに悪の組織とも対決して、なんやかんやあってチャンピオンになってハッピーエンド、というやつである。
 前作の『BW』がかなりとんがっていた反動もあって、『XY』のストーリーは割と抑制気味である。故に、今からすると地味と言われがちである。まったく印象に残ってないジムリーダーとかいるし、チャンピオンのカルネにしてもシロナみたいなインパクトは薄いし、ティエルノはダンシングデブだし。まあ当時からフラダリのネタばかり言われていて、それは今も変わらないのである。フラダリクソコラグランプリとかね。
 これ以降、ポケモンは『ORAS』を挟んで『SM』で思い切ってポケモンリーグ自体がない地方を舞台にするなどの刷新をし、『剣盾』で従来のポケモンを緩やかに解体・再構築して見せた。思えば2013年辺りって、各所で「当たり前を見直す」ということが言われ始めた時期であった。『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』とか先述した『スーパーマリオ3Dワールド』も『XY』と同時期のリリースである。それが2017年にそれぞれ『ブレスオブザワイルド』、『スーパーマリオオデッセイ』に結実したと思うと、2013年というのは、なかなか感慨深い年だった、ということになる。