めんどくさいオタク〜『カービィのエアライド』を例に〜

 自分はポケモンファン、かつケモナーとして通しているが、カービィのことになるとめんどくさくなるくらいには熱心である。初カービィは近所のお兄さんから借りた『2』だから、ファン歴も20年以上。
 マウントを取ってるわけじゃあない。けれど、そういう立場からして、言っておきたいことというのがある。昨日までE3があって、ニンダイもそこであったわけだが、例によって『エアライド』の話題が噴出していた。正直、あまり愉快じゃない。
 リメイクを要求するのは容易い。『エアライド』は確かに名作だ。けれど、今のHAL研究所のスタッフにそれを求めるのは間違いであると思う。
 これは作品の経緯を振り返れば簡単にわかる話である。『エアライド』は桜井さんがHAL研時代に開発した最後の作品である。今作の発売が2003年の7月11日だが、その数ヶ月後に桜井さんはHALを退社してフリーになっている。
 このゲーム、カービィの一作というよりは、やっぱり桜井さんのゲームという印象が強い。『スマブラ』や『メテオス』がおおよそ桜井さんにしか作れないのと同じ理由で、『エアライド』も桜井さんにしか作れない。それくらいユニークなゲームである。仮に、『スマブラ』のディレクターが変われば、きっとゲーマーは不安になったり不満を垂れたりするだろう。
 『エアライド』リメイク要求勢に聞いてみたいものだが、一体誰に『エアライド』を作ってもらいたいのか? 熊崎D? というか、そもそも今のカービィスタッフの名前、数人でも言えるんだろうか。
 ちなみに、現在シリーズのジェネラルディレクターを務める熊崎Dでさえ、2002年入社である。つまり『エアライド』の前年。今のカービィを支えるスタッフの多くが、『エアライド』以降に入ってきたと考えれば、リメイクと一口で言っても容易ではない。しかも、相手は2Dアクションではなく、異色のレースゲームだ。
 今のHAL研に『エアライド』を作る能力がないという話ではなく、当時を知るスタッフが少ないからには、リメイクのためには相当なリソースをかけなきゃならないだろうし、それで新作が滞るのは本末転倒だし御免と言いたい。
 ほら、めんどくさい!
 これは「お気持ち表明」か? 違う。こういう表現は普通言ってる側は使わない。言われる側が、自分たちの「ムラ」に土足で踏みいられる不快感を表現するために使うのである。……だから、カービィのことは辺境で語るしかないんですねえ。