『星のカービィ ディスカバリー』雑感(続いてしまった)

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 カービィ×3Dアクションという組み合わせがいかにインパクトがあるかについて、簡単に書いたんですが、改めて2分ちょっとのPVを振り返りながら『星のカービィ ディスカバリー』通称「ディスカビ」のポイントを総浚いしていきましょうか。
 冒頭、いきなり荒廃したショッピングモールと思しき施設が映ります(0:02〜0:16)。ヒトの気配はなく、一部は損壊して崩壊しており、床やエスカレーターは苔むしてさえいます。瓦礫に群れる青い小鳥たちがここでは唯一の生き物のようです。続けて、滅亡した街の外観(0:16〜0:23)。ここでもビルディングや鉄橋に草木が好き勝手に伸びており、強いアポカリプス感を与えます。まあ、ここまででこれがカービィの新作と勘づくのは難しいでしょう(もっとも、ニンダイ直前に任天堂公式のミスで「ディスカビ」の存在がリークされてしまっていたので、察しがつくと言えばつくのですが)。中には『Nier:Automata』とか『The Last of Us』なんかを引き合いに出す方もいましたね。今作のディレクターも確実に熊崎Dでしょうが、初の3D化ということと合わせて、これまでカービィに触れてこなかったゲーマー層を巻き込んで度肝を抜く掴みだったと思います。まさしく、機械化されたポップスターを舞台とした『ロボボプラネット』を編み出した熊Dの面目躍如といったところです。リークのしくじりさえなければ、インパクトはなおさらデカかっただろうなというのは惜しまれますが。
 そういうわけで、これは『星のカービィ』なのだ、ということが暫しの暗転の後で分かるというわけなのですが(0:27〜1:00)、何故か浜辺で気絶してほっぺに砂をくっつけているカービィの可愛さは一旦ここでは置いといて、いかにも今作の舞台が普段のプププランド、ポップスターとは異質な場所だ、というのは明らかですね。もちろんこれまでのシリーズ作品でも、ポップスター以外の場所が舞台となったものはあるのですが(『星のカービィ スーパーデラックス』(1996年)の「銀河に願いを」、『星のカービィ64』、『星のカービィWii』、『星のカービィ スターアライズ』などのように、冒険の範囲が宇宙に広がることは珍しくないですし、何なら『タッチ!カービィ』(2005年)とか『毛糸のカービィ』(2010年)みたいに異世界が舞台になる作品だって存在します)、こうして人間的な文明がダイレクトに登場してくるのに驚いた向きも多かったと思われます。とはいえ滅んだ文明と言うと、『64』におけるホロビタスターやブルブルスター、『Wii』におけるハルカンドラがあり、カービィ世界においては決して珍しくはないのでしょうが……
 さて、舞台設定を確認してから、いよいよゲーム内容の紹介が始まります(1:00〜1:27)。先ほど登場したショッピングモールの廃墟を駆けていくカービィ、それから崩壊した道路、トンネルの工事現場跡、鉄骨が剥き出しになった建物が登場し、遊園地で何故かヒヨコたちに追いかけられつつ進むカービィのカットの後で、相棒のワープスターに乗って廃墟の街を飛んで行くシーン(シリーズ恒例のワープスターの移動。これが自由に操作できるとしたらスゴいですが、見たところこれは今まで通り自動に見えます)。
 続いて、カービィの代名詞の一つであるアクションがクローズアップされていきます。まずは「吸い込み」(1:27〜1:31)。ここでは『すいこみ大作戦』での操作を基にしているのがわかりますね。また、ザコキャラを吸い込むとコインのようなものが得られることも注目です。「ポイントスター」にも似ていますが、新規のデザインのようです。『スーパーマリオオデッセイ』(2017年)ではコインがアイテムの購入ばかりでなく、1ミスごとに10枚減ったりするなどして、形骸化していた残機制の代替として利用されていたことを考えると、「ディスカビ」でも似たような運用がされる可能性があります。前作『スターアライズ』でも、既に残機は無用の長物と化していたところもありますし。単に100枚分集めたら1機増えるという単純なものではないような気もします。荒廃した世界に経済なんてあるのか? っていう話ですが、胡散臭い虚言癖のありそうな丸っこい行商人なんかが、ちゃっかりいてもおかしくないので……
 次に、いくつかアクションやギミックが登場しますが、「ホバリング」の映像を確認してみましょう(1:31〜1:33)。海ステージと思しきエリアで巨大なワニのザコキャラを避けてホバリングをしていますが、カービィが飛べる高さにはどうやら制限があるようです。『64』のように一定時間しかホバリングができない、ということでは恐らくないでしょうが本編でナーフがかかるのはその『64』以来のことになりそうです。ちなみに小島の中心にはワープスターと思われるものが浮かんでいて、どうやらそこからまた別のエリアに移動するギミックが用意されているようです。この辺りは3D化したとはいえ、従来のカービィをなぞる要素になりそうですね。今作を「オープンワールド」と言う方やメディアもありましたが、細かいところを見ていくとどうやらそうではないらしい。寧ろ引き合いに出すなら『スーパーマリオ3Dワールド+フューリーワールド』(2021年)辺りが良さそうです。
 カービィがシャッツォの弾丸をかわしながらハシゴを登るシーン(1:33〜1:34)には、これまでのシリーズお馴染みのアイテムが見受けられます。左側、ガボンが乗っている星型ブロックに、古びたボックス型変電所の上には爆弾ブロック。壊した場合には、下の変電所が破壊されてそこに何かしらのアイテムが出現するのか、はたまた壁沿いのシャッツォの足場がなくなることで、ハシゴが登りやすくなるのか……ちなみにハシゴを登った先にはやはりワープスターが一瞬チラリと確認できます。やっぱりこの建物から飛び降りたらワンミス扱いになるのでしょうか。
 二つの短いカット(1:35〜1:37)。カービィの動作に注目です。初めにニードル能力持ちと思しきハリネズミの敵キャラの攻撃に対して、カービィは咄嗟に身構える仕草をしています。続けて、施設内を進むカービィに突然横からコミカルな異星人か何かを象ったパネルが飛び出してくると、旅の若者は身構えたポーズの後で宙返りをして距離を取るという動作をしています。これは今までの作品における「ガード」、「そのばかいひ」にあたるものになるのでしょうか。ちなみに、「ガード」は元は『スーパーデラックス』で採用され、後に『星のカービィ ウルトラデラックス』(2008年)、『Wii』で復活したもの。「そのばかいひ」は『星のカービィ トリプルデラックス』(2014年)において追加されたアクションになります。ちなみにスマブラからの逆輸入です。
 さて、こうした冒険の中で、カービィはどこか不自然に開けた場所に辿り着くのですが、そこにはなぜだか檻に囚われたワドルディたちがいます(1:37〜1:40)。これについては公式サイトやら続報、ニンドリ誌上で連載を持ってる熊崎Dのコメントを待った方が良さそうな点ではありますが、どうやら捕まったワドルディたちを解放するのが今作の差し当たっての目的らしい。公式トピックスでも「奥行きのある3Dのステージを、カービィのおなじみのアクションで自由に動き回って探索しながらゴールを目指します」と書かれている通り、ゴールというものは存在するらしい。ただ、これまでの「ゴールトビラ」は明らかに今作の雰囲気に馴染まなさそうなので、もしかしたらこのワドルディたちの解放がステージクリアとイコールなのかもしれません。
 このワドルディたちが何であるのか、何故囚われの身になっているのか。これはストーリーに関わる重要なポイントかと。ポップスターが何者かに襲われて、ワドルディなどの住民たちが攫われていったのを救いにカービィが「ディスカビ」の舞台へやって来たということも考えられますが、一方で異質な世界観とはいえ、これまでのカービィお馴染みのザコキャラたちは引き続き登場しているものも多いので断言はできません。ブロントバートも、キャピーも、ブレイドナイトも普通にいる世界なので。これも、カービィ世界においては決して珍しくはないのでしょうが……(2回目)。しかし、ワドルディがPVで確認できる限り、ザコキャラとして登場していないのは気になるところです。もしそうなるとすれば、本編作品では『64』以来22年ぶりの珍事ということになりますね。
 ここから、3Dカービィでは一番興味深い要素であろうコピー能力がいよいよ登場してきます。『星のカービィ 夢の泉の物語』(1993年)以来、カービィの代名詞でもあり続けた能力をいかに3Dに落とし込むかは「ディスカビ」の肝でもあると思います。初めにコピーしたのは「ソード」(1:40〜1:46)。砂漠のステージでは大きい砂蛇のようなザコキャラを相手に剣を奮っています。従来の2Dカービィで言うボタン連打による「チョッピング」からの「ソード百れつぎり」でしょうかね。次のアミューズメント施設のようなエリアでは『トリプルデラックス』にも登場したホラータランプの群れを回転斬りで一蹴しています。3D化したとはいえ、コピーにはある程度のコマンドは用意されていると見て良さそうです。
 次に紹介されるのは「カッター」(1:46〜1:49)。「ソード」と同様、『夢の泉の物語』から存在するベテランのコピー能力になります。ついでに言えば、「ソード」が登場しない所謂「数字シリーズ」のカービィにもしっかり登場していたりします。これも毎度定番のサーキブルから能力を得たカービィですが、ブーメランの要領で海上の廃工場のようなステージで緑色でひし形をした森の精霊石(?)みたいなアイテムを回収しています。効果音からして、この物体が「ディスカビ」における収集要素であると考えられますね。「探索」という要素が強調されている今作であれば、もしかしたらステージクリア自体に必須なアイテム、ということまであるかもしれませんが、これも続報待ちですね。
 今度は「ニードル」(1:50〜1:53)。こちらも『夢の泉の物語』からの古参ですが、実は『トリプルデラックス』を最後にしばらくご無沙汰だった能力になります。恐らくはSDX式のゲームシステムと相性が悪かったのだと思いますが。自分もてっきり『Wii』が最後だと勘違いしていたくらいには影が薄かったんですよね。コピーしたのは、冒頭に登場したショッピングモールと同じステージでしょうか。そこのエスカレーターを下った先へも進めるのかどうかは、「ディスカビ」の自由度にも関わる部分なので是非知りたいところですが、ひとまずはニードルカービィは変身した状態で針にザコキャラを巻き込んで転がることができるようです。『64』のニードルニードルを思わせる挙動をしていますね。これを利用して破壊するギミックもあるかもしれません。
 「ファイア」の映像では、いかにもカービィらしいギミックが登場しています(1:53〜1:55)。ランタンにファイアで火を灯すことで、カービィの背後の鉄板からコイン(?)が出現し、後方の足場が沈み、その代わりにもう一つ後方にある足場が上昇しているのがわかります。ホバリングの高度が制限されているらしいので、これを利用して先へ進むということなのでしょう。横長になったゴルドーみたいな敵も気になるところではありますが。
 最後に紹介されるのは「アイス」(1:55〜1:58)。そういえば、ここまで登場してきたコピー能力はいずれもシリーズにおいては基本とされてきた能力ですね。まあ、「ソード」は「数字シリーズ」には登場しないし、「ファイア」や「アイス」についても「バーニング」や「フリーズ」といった似たコピー能力の存在もあるのですが、この辺りから今作のコピー能力の傾向も見えてくるように思います。3Dアクション第1作ということもあるし、コピー能力の総数自体はかなり抑えめになるのではないか? という推測です。「数字シリーズ」のように総コピーが「8」となるのは流石に少ないかもしれないですが、あるいはそこに近い数には留まるのかもしれない。それに今作のPV、今までの「フレンズ能力」や「ビッグバン」、「スーパー能力」といった目玉になるような特別な能力は紹介されていません。わりかし、「ディスカビ」はその辺ストイックなゲームに徹するということなのかもしれないですね。それはさておき、『3』以来24年ぶり(予定)の登場となるコロリを「こちこちといき」で凍らせて「かっそう」し、流れるような「こおりキック」で何やら銃を持った新たなザコキャラを蹴散らすアイスカービィでした。ついでに言うと、この雪のエリアには『Wii』以降のカービィ定番となっている「ポップフラワー」も生えていますね。踏んだりしたら例のコインのようなアイテムが取れるものかとは思いますが。
 一通りのコピー能力の紹介が終わり、PVのラストは今作の敵勢力である「ビースト軍団」との戦闘シーンが始まります(1:58〜2:06)。公式トピックスを見ると、前述した巨大なワニやハリネズミもまた「ビースト軍団」の一員ということのようです。その中でも一際大きい、ゴリラのようなボスキャラがカービィに襲いかかってきます。休憩所か、はたまたフードコートのような場所か、とにかく冒頭のショッピングモール辺りでしょう。それに、カービィの脇にはちゃっかり耳の大きいネズミのようなキャラがいます。今作における相棒キャラクターということになるのでしょう。星のカービィ公式twitterのオフィシャルイラストにもその姿は大きく描かれていますね。近々公式でも紹介されることになるのでしょうし、『スタアラ』における三魔官同様、今から半年ほどの間ナビゲーター役を務めることになるのかもしれません。まあ、どの虚言の魔術師のせいか知らないですが、近年のカービィに慣れ親しんでいると、この手のバディは最後裏切るのではないかと真っ先に思ってしまうのですが、カビクラは基本的に他人を信用しない人種なので……。
 ビックリして目を丸くしているカービィと、今作は既に表情も豊かで楽しいですが、そこから間髪入れずにボス戦は始まるらしい。このゴリラのようなボスが投げ飛ばしてくる岩石投げや薙ぎ払う攻撃をかわしつつ、そこから出てくる星を吸い込んでぶつけるか、あるいはコピー能力で攻め立てるか(PVでは「ソード」で接近戦を試みています)、ボス戦前のステージ構成にもよりますが、多様な戦法は取れるようになっていそうです。さらに気になるのは、ボスの首元に下がっている檻ですね。ここにも、先ほどと同じようにワドルディたちが捕らえられていますので、ボスを撃破してワドルディたちを救ってステージ、ないしはそのエリアをクリアした、ということになりそうです。こちらでは、ワドルディたちの表情は一転して不安そうに見えるので、ワドクラ的にも美味しいでしょう。檻のデザインからしても、ワド達を捕らえているのはこのゴリラ以下「ビースト軍団」みたいですが、その目的についてはストーリーなど今後の続報待ち。
 最後に、荒廃した都市の全景を波の音をバックにしながら映して、「Spring 2022」と表記されてPVは終了。ただ、どうやら一つ一つのエリアは鉄橋で繋がっているようで、この人工的な島が1エリア、ということになるのかもしれないです。ステージ構成についても、1つのエリアの中に数ステージが配置されているのか、それとも複数のステージがシームレスに繋がった広大なエリアを『鏡の大迷宮』よろしくあちこち彷徨いながら攻略していくことになるのか、「ディスカビ」のゲーム性が左右される点なので、ここは早くハッキリとさせてほしい。
 ひとまずPVをなぞりながら気になったところを書き留めてきましたが、歴の長いカービィファンであれば、一番気になるのは時系列でしょう。どういう経緯でカービィがこのような荒廃した文明の跡地へとやって来たのか? 少なくともポップスター内に存在する場所とはあまり思えない(そうだったら考察勢がざわつく案件ですが)ので、広大な宇宙のどこかということにひとまずしておきますが、その場合考えられるシナリオは二つかと思います。
 その1。初代『星のカービィ』(1992年)及び『スーパーデラックス』内の「はるかぜとともに」よりも前の出来事である。つまり、『ディスカバリー』はカービィが「旅の若者」として、ポップスターの辿り着くよりも前の物語である。
 初代にコピー能力ないだろうとツッコミは承知ですが、「はるかぜ」準拠にすればひとまず矛盾はないかと思います。それに、ポップスターもといプププランドへやって来る前に、カービィが何をしていたか、というのはファン的には興味のあるところです。何せ『スターアライズ』ではカービィ自身の出自についてある可能性が示唆されてもいますし、カービィカービィたらしめたのは一体何だったのか、というのは直接的にではなくとも今後のシリーズで描かれる裏テーマになり得ます。
 その2。『スターアライズ』の「THE アルティメットチョイス」における「魂が飛び出る辛さEX」クリア後の物語である。すなわち「メモリアルイラスト」のトリを飾る「さよならカービィ」で旅立ったカービィが漂着したのが「ディスカビ」の舞台、という見立て。
 当時何かとファンを動揺させた「さよならカービィ」ですが、これについては公開から2年以上経った後に、熊崎Dは「冒険の旅を終え、彼はまた新たな世界へ歩み出す……そのしばしの間の別れを描いたもの」と解説しております(『公式設定資料集』185ページ参照)。これが各本編の合間のことなのか、『スタアラ』後に限ったことなのかははっきりしないですが、ひとまずは後者と考えた方が辻褄は合いそうです。それにカービィが「旅の若者」である、ということは各種インタビューでも結構強調されているので、これまでの作品では必ずしもハッキリ描かれていなかったカービィの側面が「ディスカビ」で取り上げられることになるのかもしれません。
 いずれにしても、「ディスカビ」の舞台がポップスターから遠く離れたどこかであることはほぼ間違いがないと見ていいのかなと思います。3Dカービィの始まりであると同時に、「旅の若者」であるカービィの新たな物語の幕開けということで、これまでに見られた過去作品との繋がりもグッと抑えて、新しい部分を見せることに徹する、そんなゲームになりそうな気がします。……もちろん考察好きな1ファンとしては、この荒廃した世界が何なのか、これまでに登場したハルカンドラ(『Wii』に初登場し、以降のカービィ世界の裏設定を統べるキーワードとなっている文明)と何らかの関わりがあるのかとか、「ビースト軍団」勢にはどんな業の深い設定が施されているのか、とか気になることは山積みですが。
 以上、しゃべりすぎカビクラでした。続報はよ。