雑記240218

気分の落差が激しかった土日であった。細かくは言わないが、夕方にした約束を連絡もなしにすっぽかされてしまい、とても惨めな気分に陥った。最悪な気分で部屋にジッとしていていも寝るか酒を飲むかしかできない。とりあえず、フラフラと考えもなしに歩き、電車に乗って竹橋の国立近代美術館に行った。

 

特別展は中平卓馬であるが、これはまたの機会に(このところ写真家の展覧会が多い。安井仲治も東京展がそろそろ始まるし、木村伊兵衛牛腸茂雄もやるはずである、忘備録として)。コレクション展は夕方に入ると入館料が300円になってお得である。

 

4階、《行く春》や《騎龍観音》や《南風》など見慣れた館蔵品をまたもや観る。岸田劉生の《麗子像》に関する小特集。劉生が書いた麗子の素描の顔立ちがそこはかとなく有元利夫の描く人物像に似ていて面白かった(有元好きの友人に言ったら、やはり「ぽい」ということだ)。名取春仙と山村豊成の役者絵。隣は「アンティミテ」と題した一室。牛島憲之、牧野虎雄の色彩は好きだ。

 

原田直次郎《騎龍観音》(部分)

 

3階の戦争画の部屋では藤田嗣治の《血戦ガダルカナル》など。照明の関係で、近寄ると肝心の絵の中心部が白く光って見えにくいのが難儀である。コレクション展にはことあるごとに来ているが未だ《アッツ島玉砕》を観る機会はない。最奥の一室は芹沢銈介の特集をしていた。日本民藝館で売ったという手製のカレンダーが壁一面に展示されていて壮観。一角には芹沢の弟子で先日亡くなった柚木沙弥郎の染色もあった。日本画、洋画とは違う染色独特の深みある色も良い。そこまで観て閉館の10分前になった。

 

芹沢銈介のカレンダー

 

時間が押したので一つ一つはじっくり観られなかったが、今度中平卓馬展のついでにまた来るつもりで、2階は急ぎ足。昨年往生した野見山暁治の作品を観る。初めて直に拝見するが、観たことない類の抽象表現である。これは自然の抽象化か心象風景か、その混合とでもいうのか、短い時間観ただけではなんとも説明しようがない……中平展をやっている4月の初めまでにはまた観に来ようと思う。

 

何となく飯田橋まで歩いてから帰った。深夜、酒飲みながら友人にLINEを送り、自然と通話を始めていた。週明けから熱海で働くそうである。MOA美術館へ行くときにはお世話になります、それと、いい居酒屋も調べといてくれと頼んでおいた。1時間半ほど喋って、また別の知り合いと通話をし、朝まで。自分の憂鬱は憂鬱であるうちは犯罪に走りかねないほど深刻だと思い込んでいながら、結局は寝るか、飲酒するか、人と話すかすれば晴れてしまう。安いものである。

 

深酒したので、午後に目覚める。何となく中目黒の美術館へ行こうと思って、外に出て遅い昼飯を食うが既に4時を回ろうとしていたので、気が変わった。原宿に降りる。日曜の原宿は非常に混雑している。そして、とても歩く人に個性があって面白い。柴犬からトイプードルまで10匹以上のワンちゃんを散歩させている人、両足義足で歩く人、魔法少女のような格好をしたおじさん、たわしを犬のように繋いで引きずって歩いている人、みんな堂々としている。新宿や渋谷の雑踏とはどこか性格が違っていると思った。

 

竹下通り過ぎたあたりのとあるギャラリーを覗くことにしたのである。出品している作家から案内が来ていたのを思い出し、行ってみることにしたのである。ギャラリーを運営しているのは中国の人で、話を聞くと、日本国内の若手作家を中華圏のギャラリーや市場に売り出そうとしているそうである。

 

ギャラリーの一角には売約済みの絵がいくつも梱包されて壁に立てかけてあった。みな中国からの顧客という。今日なんかは10歳の子どもがプレゼントに絵を買って行ったなんてことも言っていた。近頃中国経済は低迷していると言われているが、金持ちが金持ちであることには変わりない。住宅や自動車、一通りの家財を買い揃えた中国の富裕層はアートに手を伸ばすんだという。そういう買い手やコレクターが作品を買うことで作家を支え、制作を続ける糧とする。確かに羨ましい好循環と言える。これからはアメリカだけでなく、中国などアジアの市場にも日本のアートを発信するような動きも本格化してくるのだろうと思った。

 

上野裕二郎《団龍/Swirling Dragon》

 

この龍の絵は面白かった。琳派的な華やかさと、ポップアートの派手さと野獣派を彷彿とさせる筆のタッチで現代的な龍図だ。色彩と輪郭が溶け合って調和している印象が、明確な形をとらない東洋的な「気」の表現になっているし、全体像を描かない伝統的な龍の図像にも連なっている。それに何より、一目見てカッコがいい。日本でも中国でも買い手が後を絶たないそうで、1年半ほどは注文が埋まっているそうだ。

 

瀬戸優のテラコッタ彫刻 こっちを見てくるぞ!

 

その隣に置かれていたテラコッタのみみずくの彫刻も印象的だった。凛とした佇まいも魅力的だが、象嵌された瞳はどの角度から見ても目が合うように作られていて驚いた。リアルに描くだけではなく、作家の美意識を動物に反映させているとギャラリーの主人は話していたが、確かにその通りだと思う。思いつきで尋ねたが、いいギャラリーを見つけた。定期的に足を運ぼうと思う。

 

表参道の駅までつくのに距離のわりに時間がかかった。本当に原宿は人が多い。買い出しして、家に帰り某サークルの集まりに参加。あとは飯を食い、自重をして、明日には返さねばならないシュオッブの翻訳を読み、これを書き、酒を飲まんとする。

 

小説の進捗。あまり良くない。筋と関わりのない描写をする段になると、急に言い回しや比喩に自信がなくなって、筆が止まりがちになってしまう。無用なことを必要以上に描写してしまうきらいがあるかもしれない。

雑記240213


有給を取ったので今日まで4連休だった。やはり週休は3日からに限る。4日も休んだらすっかり休んだという気になれる。

 

午前中は新宿に映画を観にいく。『スケアクロウ』という映画。面白かった。不安定で不器用なところのある二人の男が道中で色んな人と出会い、色々と騒動に巻き込まれながら旅するロードムービー

 

午後は久々に美術館へ行こうと思ったのだが、そういえば休日の翌日というのは閉めるところが多いのである。案の定、主だったところは大概閉館していた。さしあたって行くところもないが、このまますぐ帰りたくもないので、そのまま新宿から千駄ヶ谷まで歩いた。新宿御苑でもと思ったがここも今日は閉園で入れない。道伝いに歩くともう国立競技場であった。グズグズと歩いていると、こんなものに行き当たる。

 

 

旧国立競技場にあったモザイク壁画である。現在の競技場の裏手、正直あまり目立たないところに展示保存されている。前のオリンピックのために大沢昌助、竹田竹雄、宮本三郎脇田和の4人が制作したもので、紆余曲折の末に、この場所に保管されることになったそうである。それについての東京新聞の記事を読んだが、当初はほとんど議論されることなく撤去されそうになっていたのを、大沢昌助のご遺族の方が行政に働きかけたことで、今の形になったということだ。自分がよく知っているのは大沢と宮本くらいで、直に作品をいくつか観たのは大沢だけなので、あまりどうこうは言えないが、大沢が戦後具象から明るい抽象へと変わっていく時期の画風で面白いと思った。

 

 

見ると、一部の作品などは設置のためにわざわざ地下を掘り下げている。壁画のある側を見ればわかる通り、恐らく国立競技場に足を運ぶ際にもあまりここは通らないと思われる。付近にスタジアムへの入り口があるわけでもなく、知らなければなかなかわからない場所というきらいは否めないが、貴重な場所であった。ここからだと有名なホープ軒の黄色い建物や河出書房新社のオフィスなどが見えた。

 

聖徳記念絵画館

 

そこからさらに歩くと、堂々たる石像の建築が現れる。晴れ渡った青空に神殿のような佇まいが映えている。明治神宮外苑にある聖徳記念絵画館である。ここは水曜が休館だったので中を覗くことができた。施設維持協力金という実質の入館料500円を払うと、明治天皇の業績を誕生から崩御まで描いた40有余点の絵画などを観覧できた。歴史教科書でよく見かける大政奉還江戸城無血開城の絵などはここの所蔵品である。館内の撮影はできなかったので、ザッと観て歩いた。

 

一際目を引かれたのが、《振天府》という絵であった。明治日本の歴史と天皇の足跡を画題としている都合上、記録画という側面の強い絵が多い中で、面白い絵だと思った。《振天府》というのは日清戦争の戦利品などを収めた皇室の施設ということであったが、この絵はそういう事実よりも台湾で得た文物を静物画のように配置して、絵の関心は専らそこに集中している。全体に黄色を基調としながら赤でアクセントをつけ、画面全体も引き締まっている。振天府という施設のことや、日清戦争の歴史的記録などは絵の背景や隅っこに追い払われているので、純粋に一枚の絵として観れるし、良い作品だと思った。

 

川村清雄《振天府》 1931(昭和6)年 凄く良い絵だと思うんですが、いかがでしょう

 

それで作者を見ると川村清雄という画家であった。そこで思い出したのだが、以前も自分は川村清雄のまた別の静物画を一目見て心惹かれていたのであった。明治期の洋画家であるが、当時主流だった印象派風の描き方とは違う重厚な油絵と言えばいいのだろうか。色彩や構図もうまく説明できないが、気にいるところが多かったのである。そうして川村清雄であるとわかって見ると、自分が以前惹かれた要素などが実際の絵を前にしてよく感得できるのだ。聖徳記念絵画館で観るべきものは間違いなく川村の《振天府》である。

 

それから信濃町駅の周辺で遅い昼飯を食おうと思ったのだが、意外に店がなく、四谷の方まで歩かされた。途中、創価学会本部や他の関連施設などを横目に見ながらちょうどいい飯屋を探していた。中学時代にニコニコ動画に入り浸っていた連中からすればある意味信濃町は聖地である。至る所に三色旗が旗めいているし、商店街の店もよく観察してみればあの青・黄・赤の組み合わせを見つけることができる。そもそも、商工会のシンボルがすでにそれなのであった。せっかくだから信濃町駅裏手にある本部でも撮ろうかと思ったが、関係者らしき人が立っているからよした。流石に追いかけられることはないだろうが、声を掛けられると参る。

 

駅前の書店では亡き池田先生の著作が……

 

ようやく松屋を見つけたので、そこで牛丼を食い、別の道を歩いて国立競技場まで戻る。5〜6年ほど前に同じ道を歩いたことを思い出す。途中、立ち止まって斎藤茂吉晩年の邸宅跡という掲示を見た時に思い出したのである。当時まだ競技場は建て替え中であった。

 

東京体育館のジムで2時間ほど筋トレと平泳ぎをして帰る。良い4連休だった。

なぜかガラル転生したコライドンだけど、イケメンなのですべて何とかなった 29話

標題通り!!!

 

 29

 こんなところに来るはずじゃなかったんだ、とコライドンは思った。ワイルドエリアはすっかり日が暮れて夜になっていた。ダークブルーに染まった空に煌めく月が浮かんでいた。ジャラランガが俺の帰りをやきもきして待っているであろうことは容易に想像できた。言葉面ではそんなこと微塵も気にしていないとは言うくせ、コライドンの身が他の誰かに貸し出されることに対して、不平を隠しきれていないのは明らかだった。多分、そういうことを考えまいとして胡座を掻いて瞑想をしようとして上手くいかず、苛立ち紛れに腕立て伏せを初めて見たり、目についた樹木に向かって拳をぶつけてみたり、不味そうにきのみを齧っていつまでも咀嚼している。
——……東側には絶っっっっっ対、近づくんじゃねえぞ
 とそのジャラランガが言っていたワイルドエリアの東側に、コライドンは歩を進めてしまっていた。しかも、一緒に歩いているのは他でもない——
「さっきのは傑作だったよ、な?」
 何の悪気もなくガブリアスは語りかけてくる。お茶目に牙を見せ、弾頭のような頭部を図々しくもコライドンの顔に寄せながら。顎から峻険な首筋を通って逞しい胸筋や腹筋を染める橙色の体色は暗闇でも派手に映る。
「前々から見知っちゃいたけど、アイツらのケツマンがあんなクソみてえな名器だとは思わなかったぜ」
 結果からしてみれば、コライドンは随分と盛ってしまったのである。初めは自分を慕うプテラオンバーンの可愛いげある姿に根負けして、セックスに付き合っているうちに、なんだか自分も本気になり出してしまった。ほっそりとして、筋肉質で均整の取れた彼らの体つきが、こんなにも雄の本能を掻き立ててしまうとは。滾るように勃起したペニスを二匹の尻に突き挿して俺もコイツらもまとめて気持ち良くなってやろう、などと考えもせずに考え、思いつく限りの行為をしてしまった。興奮が覚め、冷静に我が身を振り返ってみると恥ずかしいことばかりだ。
 その上に、思いがけず、ガブリアスが乱入してきたのだった。
「けどよお、テメエも大した淫乱野郎だったよ。あんな雄二匹も性奴隷にしちまうなんてな! これからもたっぷり遊べそうだなあ?」
「……」
「何恥ずかしがってんだよ? 別に責めてる訳じゃねえだろうが?」
 してしまったことに対しては何も言い訳ができないコライドンであった。あの二匹相手に随分と楽しんでしまったわけでもあった。一旦興奮してしまったら最後、欲望を出し切ってしまうまでこの獣性というのは抑えることができなかった。もっとも、それ自体はちゃんとコライドンと彼らの間で済ませておけば良かったのが、そんな霰もない姿体をよりにもよってガブリアスに見られてしまった挙句、一緒に絶頂に達してしまったのだから。
 いきなり現れたガブリアスオンバーンの尻にその対になったペニスを躊躇せずに突っ込んで腰を振り始めたのに、コライドンは目を丸くしたのだが、奴は一向に悪びれもせずに息も絶え絶えなオンバーンを背後から犯し続けた。
「何してんだよ? テメエも挿れてんだから、そのクソ雑魚マンコをぶち犯しちまえよ!」
 なんて煽ってくるし、犯されている側の翼竜たちは自分らの置かれている状況などまるでわからず、ただ尻で感じたい一心で腰をくねらせ、アナルをヒクヒクと収縮させるものだからにっちもさっちもいかなかった。もう何度尻をイカされたかわからないプテラの直腸はそれこそ口のように自由自在にコライドンのペニスを捉えてフェラチオしてこようなどするので、黙っていても射精してしまいそうなのだった。仕方ないと言えば仕方ない、けれどもそれはどこまで言っても言い訳にしかならなかった。ガブリアスに煽り立てられた通りにヤケクソとばかりに腰を打ちつけた。ドク、ドクと大きな音を立てながら、プテラの尻から半分ほど肉棒を引き抜いては、すぽっと抜けそうになるかならないかのところですぐさまぐっと腰を押し出し、肉棒を奥まで突き挿す、それを何度も繰り返した。
 コライドン自身とガブリアスの漏らす荒い息と、しゃにむに肛門を犯される二匹の支離滅裂な悲鳴と嬌声混じりの叫びがげきりんの湖畔の草むらに響いていた。それだけが深く記憶に刻み込まれていた。後のことはなぜだかぼんやりしていた。そうして、コライドンもガブリアスも出すものを出し切ってしまった後、失神したプテラオンバーンを捨て置いて、げきりんの湖を立ち去ってしまった。そういうことになるのだと思う。あまつさえ、ガブリアスの背中についていって、巨人の帽子と呼ばれる巨岩を過ぎり、砂嵐舞う砂塵の窪地を俯きながら通り過ぎて、東側の巨人の鏡池に達してしまったのである。
 なぜガブリアスなんかに気落ちしながらも付いていかなくちゃならないのか? コライドンにもよくわからなくなっていた。ただ、ヤリ終わってからガブリアスの奴がいかにも気さくな振る舞いで肩の——胸のところから肩をくるっと回って伸びている群青色の毛に、爪先を乗せて、
「おい、このまま帰るのもつまんねえだろ? ちょっと付き合ってくれよ?」
 と言うからであった。別に付き合わなくても良いし、そういう謂れだってないはずだったのだが、以前こいつと出会った時に聞かされた言葉がコライドンの脳裏を過ったのである。
——俺に付いてきたら、いい情報を聞かせてやるんだがな。
——とっておきの情報だ。もしかしたらだが、お前がいた場所……パルデアに戻れるかもしれねえぜ?
 初対面から、なぜか自分のことを「コライドン」と呼んだガブリアスのことが密かに気になっていなかったなんてことはない。所詮、後出しの理屈かもしれないが、ここでガブリアスが何を企んでいるのかを知っておくことは悪いことではないとコライドンは思った。それに、パルデア——自分があるべき時空、とでも言うべきもの——に戻る手段に心当たりがある、とでも言いたげな態度をガブリアスが示したからには、やはりコイツから聞き出すことは聞きださないといけない、ともっともな理屈で自分を納得させるのだった。
「何、神妙な顔してんだよ?」
 ドスのきいたガブリアスの声調でコライドンは現実に引き戻される。ガブリアスが自分を睨みつける瞳は、しかし好奇心旺盛なワンパチのようにキラキラとしているのが妙だった。コライドンが抱いているのと同様、ガブリアスもコライドンに対して尽きせぬ好奇心を抱いてワクワクしているのが見て明らかな顔つきだった。ドクン、と心臓の高鳴る音を、コライドンは感じてしまった。

なぜかガラル転生したコライドンだけど、イケメンなのですべて何とかなった 26〜28話

 2024年初更新がこういう形になるとしょうもないのであるが仕方ない。

 Privatterでコソコソ更新していたヤツなのだが、昨今の情勢ゆえ、いつ使えなくなるかもわからないワケであるから、こっちを使っても良いのでは? と思ったので、今更だがこちらに切り替えてみた。更新分は28話であるが、他所ではまだ公開していない26・27話も抱き合わせで投稿することにした。それ以前のはpixivやポケモン小説wiki、お好きな方でおさらいください!

 

 26

 二匹は飼い慣らされたワンパチのように従順に四つん這いの姿勢になると、尻尾をピンと突き立たせて無防備なアナルを見せつけている。しなやかで張りと潤いのある彼らの脚の間から、トロピウスの熟れた房のように勃起したペニスが元気に跳ねていた。精をいっぱいに溜め込んで、勝手にぴく、ぴく、と振れているそれをギュッと根本から握りしめてみると、それだけで射精してしまいそうな素振りで敏感にお尻を宙高く突き上げる。しっかりとした硬さと、弾力のあるぷにぷにとした感触を指先で感じながら、コライドンはオンバーンプテラの若々しい艶を放つ腿につい目移りしてしまう。名前と噂でしか聞いたことのないサンの実とスターの実が同時に目の前に差し出され、好きなのを食べるがいい、とでも言われているかのようだった。反射で飲み込んだ唾の音がやけに大きいのは気のせいだったのかどうか、コライドンはわかりかねた。
 自分の下腹の内側は太鼓を打ち鳴らしでもするように疼いている。逞しい体躯のコライドンからすれば、子ども同然の細身である翼竜たちが、雄壮さだとか勇敢さだとか一切の雄性をかなぐり捨てて、同性にカラダを犯されたがって自分からその尻を差し出してくる姿を直視していると、頭がおかしくなりそうなほどにたまらなかったが、自分の中にそういう感情が眠っていたということに驚かされるだけでなく、その感情の思いの外大きいことに呆気に取られた。自分の股から露出していた大きく、硬く、熱気を放散するペニスが、まるで樹木の成長をタイムラプスで見るように、喉袋の下端にまでそそり立った。
 地べたの頬を擦り付けながら発情し善がっていたオンバーンが発色の良いエメラルド・グリーンの飛膜を頑張って広げてひょろ長い腕を窮屈そうに後ろ手に伸ばし、コライドンの蒸れた大きなペニスをありがたげに握った。恐る恐る、けれども次第に大胆に、露骨に、爪を肉棒に食い込ませてはその大きさに感じ入っている。
「はあっ……あっあっ……あ゛ははぁっ!……」
 オンバーンは引きつった薄笑いを浮かべ、腰を大袈裟なまでに跳ね上げる。彼のペニスがムクホークに囚われたヤヤコマのようにピクピクと抗うように動くのをコライドンは手の内に感じている。
「あいい゛っ……あいい゛」
 呂律の回らない口先でオンバーンが兄貴っ、兄貴っ、と焦がれるように呟く。コライドンは胸を熱くさせながら、この蒸気のようにむんわりと膨らんだ感情にあてられてぽうっとしてくる。血が荒ぶったケンタロスのように全身を駆け巡り、まるで全身が一つの男根となって勃起でもしたかのように強張っていた。
「あううっ……ぅんんっ……!」
 プテラプテラでいっそう敏感に、可愛らしくその引き締まったカラダを官能的にくねらせていた。さっき打たれたばかりの臀肉から、コライドンの手の形が滲むように赤く浮かび上がっていた。あられもない体位でカラダを弄ばれるのがよほど嬉しくて快感に浸り切り、コライドンの微かな指の動きに対してまるでツボに効きでもしたように肩や腋や腿の肉を痙攣させるのもなんだか健気に思われる。
 まだまだ彼らの熟れたペニスを弄くり回したいのはやまやまだったが、あたかも招いてでもいるようにぽっかりと弛んだ二匹のアナルはもう耐え難かくんなっていた。ペニスから手を離して爪先を腹と尾の境目をねっとりと這わせながらアナルへと手を伸ばした。その周縁からグリグリとじっくりと丹念にこねてやると、二匹とも身を柔軟に捩らせて悦びを体現してくれる。
 堪らずにその小ぶりに筋肉の盛り上がったプテラの尻へとコライドンは鼻先を突っ込ませた。ヒク、ヒクと蠢くアナルにべっとりと唾液を塗しながらじっくりと口づけする。ぢゅぢゅぢゅ、と啜り上げるような水音が鈍重な響きを立てる。
「んっ!……うう゛うっうっ……んん゛、ん」
 糞を拭うように根本まで伸ばした舌をしっかりと花開いたアナルに押し付けながら下から上へ何度も舐め上げると、ぷにぷにとして柔らかい臀部の触感が気持ちよくていつまでも味わっていたかった。
「くうぉっ……くおらうぃどんすぁんぅ」
「おう……どした」
「はんえ、くしゅぐったいんっぢぇ……」
 言葉もしどろもどろに、コライドンの頭羽が自分の尾の付け根を擦れてくすぐったいと訴えながら、プテラはキュッキュッと尻を横にリズミカルに振るので、コライドンの口元に後穴が押し付けられ、束の間、息ができなかった。
 思わず口を離し、ぷは、とひとしきり息を吸い、もきゅもきゅと動いている小賢しい臀肉を打ってから、コライドンは仕返しと言わんばかりに舌先を翼竜の直腸の内へ挿し入れた。ドラメシヤが親のドラパルトのツノに収まるように、あっさりと内に挿入った舌を無茶苦茶に動かす。幾重にも襞をなしているヌメヌメとした粘膜を舐め回して、水分を全て舌で吸いつくしてやるとばかりに掻き回すと、悶絶したプテラが、
「んん゛っー!……んんん゛ん゛ん゛ん゛ーぅっ!……」
 と、声音を変え、尻を振り振りして善がり狂う。コライドンは調子づいてきて、ほじくり返すように舌で穴のぐるりをなぞるようにすると、一舐りごとに柔らかな肉感が感じられる。振り乱れる腰の動きに合わせて、宙ぶらりんになった翼竜の男根が揺れて、引きつった腹筋にあたってペチペチと小さく乾いた音を立てるのも意地らしい。
 内壁の締め付けを感じながらやっとのことで舌を引き抜いて、なおも不満げな尻を強めに打ってやると、うお゛ん、と切ない悲鳴を上げながら翼竜は腰の力を抜く。オンバーンは隣でさっきから不満げに下腹を震わせているのが、視界の周縁のぼやけた辺りからも窺えた。コライドンはその尻を両手で鷲掴んで揉みしだくとパン生地を練るようによく爪が食い込んだ。そして、紅色に染まっているアナルをめいっぱい舌でチロチロと弄んでやると、蝙蝠らしく甲高い声を上げて鳴くのだ。
「うお゛っ……あいい゛ぇっ……」
 抑えた喘ぎ声を漏らしながらも、その両腿にぶら下がったペニスはいよいよ血色よく勃起してごまかしの効かないほどにピンピンしていた。今度は顔を腹の下に潜り込ませ、汗ばんだ腹筋に張り付いた雄の裏筋からアイアントの戸渡まで一息に舐め上げる。痺れたように全身を震わせて込み上げてくるものを堪えようと頑張るオンバーンの尻に、またひとしきり舌を挿し込んで猥雑な水音を上げて舐め立てた。
「ぅぉぉぉぉぉん……うぅぐぅぅぅぅうぅぅぅっ……」
 イワンコ遠吠えのようなオンバーンの声はまるで遠くから聞こえてくるように、か細かった。コライドンの全身はジャラランガの奴とタイマン勝負をした直後のように火照っていて、血はドクドクと循環し、筋肉という筋肉から血管が浮き出して、ピクピクと神経質に鼓動していた。そして、劈くようなペニスは痛みさえ感じるほどに股間から直立して精の吐口を切望している。今ならどんなことでもできるし、どんなことでも吐き捨てられてしまいそうなほど心もカラダも狂喜していた。
 オンバーンのアナルに勢いよく唾を吐き、一思いにペロリと舐めた。顔を上げたコライドンは、なおも従順に四つん這った二匹の姿態をじっくりと眺めながら、自分にペニスの硬さを確かめるように二、三度扱き、それから、水掻きの張った指を扇のように閉じて、ゆっくりと二本分の爪先を彼らのアナルへ挿し入れると、花弁のような肉の襞はこれだけ善がっているにもかかわらず抵抗感があったが、ぐっと力を込めて押し込むとあっけなく指の付け根まで挿入ってしまう。二匹の中でクイと指を曲げてヌメヌメとした腸壁を押し上げると、
「んふぁあああっ……んんんんんっ……!」
「ぅぁぁぁっ……ぅぉぁぁぁ゛あっ!……」
 プテラの方は甘い声を漏らしながら、コクリと頷くように力強く尻を上下させる。上半身は脱力してすっかり草地に委ねていて、夢見るようにじっとコライドンの指を尻の内側で感じようと努めているようだ。両指をリズムを取るように交互に動かして彼らの奥を弄ると、それに応じてプテラの腰はくねるし、オンバーンの尻はピク、ピクと震えながら突き上がり、獣じみた欲情が張り裂けそうなくらいにまで高まっていく。
 これからコイツらをどうしてやろうか、と自分ながら下卑た考えを抱きながら翼竜たちの尻を弄り続けながら、その毒と混乱と火傷とを同時にくらったような混濁したカラダと心の状態に至って、コライドンは決してこれは初めてのことじゃない、という気がしたのである。コレはいつかどこかで自分が感じたことであり、感じさせられたことだったと、そんな確信が頭をよぎった。犯されようとしているコイツらと、犯そうとしている俺、何かに似ていたんじゃねえか? もう少しで何かが蘇ってきそうだった。ピースが一つ埋まれば完成するパズルか何かのように、もどかしく感じられた。


27

 二本指が容易に奥まで挿入るようになると、横並びに四つん這いになって従順な翼竜たちの中へ指を出し入れするごとに、コリコリとした後ろの口がみるみると緩んでいく。
 理性もへったくれもない剥き出しの汚らしい喘ぎ声を上げながら、彼らが反射的に尻の筋肉をきゅっと窄めると、直腸の内壁がコライドンの指をかたどるように狭まる。それこそ下の口で熱心に指をがっちりと咥え込まれているような心地で、お返しに力強く爪を中で掻き回すと、クリームのようになめらかな腸壁の表面を指が滑り、するとプテラオンバーンも電撃を浴びさせられたかのように、尻尾ごと尻を跳ね上げて善がりまくるのだ。
 コライドンは自分でも果たしてどう表現すればいいかわからない表情を浮かべながらゆっくりと指を引き抜いた。自分のものが熱と張り裂けそうな痛みを伴いながら激しく屹立するままに、今度は握り拳を作って、彼らの後ろに押し当ててみた。ぐいぐいと捏ねるように一押し、二押しとしていくと、まるで魔法の壁に触れたかのように拳は面白いように二匹の中に埋まっていく。拳が全部挿入ってしまった。そうすると手首はするすると、きゅもきゅと顫動する翼竜たちの中へ飲み込まれていった。
「んっ!……んぉぅんっ!」
「お゛おおんぅ!……」
 拳を挿れられた二匹の苦しげで切ない呻き声が漏れる。コライドンはしばし呆気に取られていた。恐らくは二匹とも常日頃から棒状のものなら何でも咥え込んでいるんだろうが、よもやコライドンの拳まで平気でぱくついてしまうとは、大したカラダだと思った。
「すげえ……」
 思わずそんな感想が口に出た。一度拳を引き抜いてみると、それが排泄のために使われる器官であることが信じられなくなるほどに広がった二つの暗い穴が目の前に現れた。淫らな翼竜たちは太腿を外側に思いっきり開いて、そのぽっかりと開いた穴をさらに見せつけようとする。ヨダレのようなトロリとした体液が、その端からアイアントの戸渡を伝って流れていた。彼らのほっそりとした膝は重なり合って、尻の肉も頬を寄せ合うようにくっついていたので、まるで尻についた顔同士が仲良しげに秘められた会話を交わしているように見えた。
「ねえ、あにきっ……」
 オンバーンが肩甲骨をくねくねと動かしながらコライドンに振り向く。その顔はすっかり赤く上気していて、恍惚とした眼差しをコライドンの雄々しい肉体に注ぐと、この先のことを空想して期待感に煽られたのか、何もされていないのに微細にカラダを震わせていた。
「ん?」
「もっと、もっと、その拳、ぶち込んでくれよぅ……」
 お願いします、と頭を下げる代わりに小ぶりで引き締まった尻が頻りに縦揺れする。
「お、俺もぅ」
 一方で隣のプテラの方は、プルプル、と横に尻を振る。しなやかな筋肉を溜め込んだそれが、オンバーンの臀部に衝突してペタ、と音を立てるのも淫靡である。オンバーンはサッとプテラに向き返って、どこか挑みかかるような目つきで見つめる。
「そうやって抜け駆けしようったって無駄だからなぁ……」
「何が……」
「俺が先に兄貴にチンポ挿れてもらうんだから」
「先だろうが後だろうが、どうせ挿れてもらうんだからいいだろそんなこと……」
「だったら、先に俺が全部搾り取っちまうから……」
 そう言って、さりげなくコライドンに向かって小振りな尻をフリフリしながら見せつけてくる。
「ほらほら、喧嘩すんじゃねえよ」
 嗜めるように、突き上げられた尻どもを引っ叩くと、およそ翼竜らしからぬ声を挙げて彼らは善がった。甘えるパウッツェルのように甲高く、もっと欲しいと言いたげに尻たぶを揺らして煽ってくる。
「聞き分けが悪いと、こうだぞ」
 まるで自分が発しているようには思えない言葉を吐きながら、もう一度握り拳をプテラオンバーン、それぞれの肛門に挿しいれた。大口を開けたアナルはただ弄くり回されるまま、まるで柔らかい粘土のように節くれだったコライドンの拳を受け入れる。こねくり回される彼らの反応も、いっそう激しく、敏感に、貪婪になっていく。
「あはっ……ああははっ……しゅぐぉいっ……はっ……んんん゛っ……!」
「きぃゅうぅぅぅんっ……! ふぉっ……お゛ん……!」
 腸壁をゴリゴリと撫で回されるのがたまらなくて、プテラは尾をパタパタと細かく横に振り、全身を蛇のようにうねうねとくねらせて善がっている。オンバーンは威嚇するニャヒートのように尻を限界まで突き上げ、小刻みにカラダを振るわせて迫り来る強烈な快感に悶えている。
 手首の骨を鳴らすようにグルグルと捻るように大きく回転させると、彼らは堪らず腰を引いて拳から逃れようとするが、その拍子に尻肉がギュッと閉じるので、コライドンの拳も柔らかく温かい粘膜に握りしめられる。少なからぬ圧迫感を覚えるくらいの力の強さで、10番勝負で取っ組み合った後にジャラランガと交わす握手を不意に思い起こした(そこで一瞬、石橋の下で一匹過ごしているであろうジャラランガのことを思い浮かべる。この調子だと帰りは遅くなりそうだ、とコライドンは思った)。そのまま腕を垂直に伸ばすと、手首からさらに肘までが収まってしまって、びっくりした。拳が二匹のお腹を裏側から押して、引き締まった腹筋からコブのようにぽっこりと浮き出していた。
「おい、どうだよ?」
 相変わらず自分が喋っている気がしなかった。誰かに意識を乗っ取られたような、そんな馬鹿な空想をしながら、コライドンは彼らの尻の奥の何やら敏感な辺りにジャブを喰らわせた。こいつらに誘われた時には、いくら可愛げのある奴らだからといって、腕までぶち込むだなんて考えもしなかった。自分に驚きつつ、案外不自然にも感じていないのも、元々俺にそういう欲望があったからなのか。確かに、何かを思い出せそうな手応えはするのだ。
「はひっ!……あいいいいっ……!」
 あまりの刺激に全身を痺れさせ、口を開くのもやっとという調子でオンバーンは叫んだ。もうワケわかんないくらい気持ちいいです、と言おうとしても、もう腑抜けた喘ぎ声しか出すことはできないのだった。それはプテラも同様であり、
「んぅうぅっふ……んんんぅぃっ……」
 美食家がことさらにカイデンの巣を味わってみせるように、直腸でコライドンの腕を咀嚼しながら、天にも昇るような心地で全身を性感帯にでもして、地べたにそのほっそりとしたカラダを擦りつけて悦ぶ姿体を見ていると、否が上にも股間に聳える暴力的なそれがズキズキと痛む程だった。
 トドメに思い切り拳で一発、裏から腹をぐりぐり押し出すと、一斉に苦しみとも嬉しみともつかない叫声が漏れる。
「なあ」
 コライドンは言った。
「もっと、気持ちいいの欲しいか?」
「はひいっ」
「んふうっ……」
 プテラオンバーンが仲良く腑抜けた返事をするのを聞きながら、コライドンはゆっくりと腕を抜き出し、まるで突然陥没してできたかのように見える彼らのアナルに鼻先を近づけ、襞を成している縁を舌で丁寧になぞってやる。よほど丁寧に準備をしたのか、普段の用途がどのようなものか忘れてしまうほど、そこは新鮮なきのみのような爽やかな香りがするのだった。先が二股に割れた舌を器用に動かしてもうしばらく二匹を弄んでおいて、すっかりイキリたってどうしようもなくなっている自分のモノに軽く触れてみると、自分でも驚くくらいの硬さと熱さを湛えていた。これからこれがあの中に挿れるんだな、と考え、堪らなくなってきた。

 

 28

 横並びになった豊満なモモンの実を見比べながら、コライドンは自分の竿を軽く握りしめて扱くと、いっそうと背伸びをした先端が大きな喉袋にタッチする。腹を空かせたルガルガンのように獲物を襲わずにはいられない獰猛さをもって、血管が赤みを帯びた陽物の表面に刺青のように浮かび上がってきた。二匹はヒクヒクと後ろの穴を収縮とさせ、来たるべきモノを今か今かと待ち侘びている。尻で呼吸をしているみたいだった。
「よしっ……」
 垂直に持ち上がった二匹の尻尾を根本から掴んで持ち上げてみると、もうそれだけで絶頂に達してしまったかのように腰を大きく振るわせる精悍な雄としてはしたない素振りをする。オンバーンの首元の豊かな白髭のような毛並みは汗と土がこびり付いてすっかり汚れてしまっていて、綿毛のようにふっくらとした質感も見る影もなく、見窄らしい姿体を晒していたが、そんなことどうでもいいとばかりに性に狂っている。
「あにぎぃ、ほひいっ、ほひっ……すぅ」
「何が欲しいって?」
 わかりきった問いに意地悪くすっとぼけてやる。
「そおっ……ひんぽうっ! ひんぽっ……!」
 必死に懇願しようとするが、まともに呂律が回っていない。
「あー……よく聞こえねえな」
 ほら、もっかい言ってみろお? 尾の付け根を絞り上げるように掴んで引っ張り上げると、狂い善がった声を漏らしながら、力なく浮き上がった下半身をもぞもぞと動かしているが、股下から垂れるペニスは勃起したまま、先端からトロリとした我慢汁を垂らしている。
「ひ……ひっ……ついん……ぷぉ……」
 夢見心地な口ぶりで、それでもコライドンに挿れてもらいたい気持ちは一心に、雛のようにカラダをバタバタとさせているオンバーンの尻たぶをいきなり乱暴に掴んだのは隣合って尻を差し出すプテラの爪だった。
「ひぐっ!……て、でめっ」
「ははっ……ひ……ひっでえ声っ!……」
「……うるじぇっ」
 オンバーンは舌を出して返事するのがやっとなほど善がっていた。しなやかな尻を立て続けに二発、思いきり引っ叩いてやると、尻肉に浮かんだコライドンの手形がいっそうと赤みを帯び出した。
 普段は互いに勇敢に振る舞っているだろうこの雄たちが、コライドンを相手に、今や物欲しげにアナルから腸液を垂れ流しさえしている姿は哀れっぽくもあり、面白くもあり、可愛げもあって、ともかく見ているだけでコライドンの心を乱すには十分な姿体であった。
 いきなり手を離して、へたり込んだオンバーンの腰を両手で掴むと一気に自分の下腹へ引き寄せた。期待のあまり漏れるオンバーンの悩ましげなため息に鼓動が高まるのを感じながら、極限まで勃起したペニスをほんのりと桃色に腫れた尻にぺちぺちと叩きつける。
「えへへぇっ……」
 悔しがるプテラに向かって勝ち誇った顔をしながら、早くちょうだい、と言わんばかりにオンバーンは腰を振り乱す。コライドンは根元から自分のモノを掴んだ。それにしても、この体勢だと胸元の大きなタイヤ状の喉袋が邪魔をして股間の辺りが見えないのがもどかしい。何とかペニスをアナルにあてがってやると、シビルドンのような大口が瞬時に閉じて先っぽをパクリと捉えた。コライドンの背筋が思わずすくっと伸びる。
「うお゛っ!」
 腰を前に突き出すだけで楽々と挿入っていくが、それでも奥の辺りは結構締め付けが強いのだった。オンバーンが痺れたように腰を動かす度に、急にキツく閉じた内壁がペニスを締め付けてくる。油断するとそのまま股間を持っていかれそうだった。自分の尻で精を絞り取ってやろうと決意を固めているかのようだ。オンバーンの内側の温さをコライドンは股間でひとしきり味わいながら、意識が朦朧としたかのように目を細める。夕暮れにさしかかった空が少しずつ明度を下げていた。
 ゆっくりと腰を前後させる。ちゃっ……ちゃっ……と水の撥ねるような音を立つ。コライドンの熱を帯びた陰茎がオンバーンの尻の中を行ったり来たりして、腹の裏をしつこく苛ませた。
「おい、どうだ?」
「ひひっ……ん゛うぅ……」
「ケツ、気持ちいか?……」
「ぎも……ひもぎっ!……」
「ひもじい?」
「ひぎっ!……ひおいいっ!」
 手首にスナップを利かせて手厳しく尻をビンタしてやると、むしろ喜んで下半身を波打たせている。生意気だとばかりにコライドンは、その丸くデカい耳を掴んで引っ張り上げた。
「あひぃっ!……ゔれじっ……こあいどんあいいっ……!」
 上半身を海老反りにさせられながら、それも堪らないというかのように、だらしなく舌を垂らしてされるがままになっている。くっきりと背中の中心を通る筋を白濁した汗がぎこちなく流れていたのを、さっと舌で舐めとってやると、キョジオーンが撒き散らす粉のようにしょっぱく感じた。彼が普段はこのガラルという土地のあちこちを飛び回って郵便やら何やらを運んでいる姿を想像するにつけ、いま躊躇いも見せず善がり狂う姿がいっそうのことイヤらしく、ときめいてしまう。
 興奮はしていた。逞しく若々しい雄たちをこうして二匹同時に手込めも同然に扱っていると、これまで抑えていたものが堰を切ったように溢れ出てくるのは、いっそ感激するほどであったのだが、自分が口にする言葉はいちいちぎこちなく、どこか他所の奴になりきって演じているんじゃねえだろうか、という微かな違和感もあった。ヤッている時ってのはこういうもんなのか、それともこんなことを考えているってことは、まだ吹っ切れてないってことなのか? パンのような尻たぶに指を深く食い込ませながら、打つような音を立てて激しくメリハリをつけて腰を前後させた。腹と尻がぶつかりあって、タン! タン! と草地に生々しい物音が立つ。腸壁の抵抗も何だと言わんばかりに、無理やり熱棒で押し広げ、奥の弱いところを突きまくり、苛んでやった。
「んぁぁぁあっ!……あ゛あ゛あ゛っ……ゅうん……くぅううううっん……!……んほぉっ……イグ……こあいおんあいっ……いぐ……ぎんぽじぇ……いぎゅうっ!……いぎゃいぎゃいぎゃいぎゃ……ゔぐうっ!……んぐぎゅぅぅぅぅっ!……」
 勢い直腸を収縮させながらオンバーンはやかましく叫び、全身を盛んに痙攣させた。その震えがアナルに挿し込んだ太ましいペニスに伝わり、尻の中でいっそうと硬さを増していた肉棒に溜まっていた射精感が一気に高まってくるのをコライドンは感じたところで、ペニスを引き抜いた。先端から少しだけ汁が溢れていた。全体はオンバーンの腸液と混じり合ってねっとりとしたベールに覆われているかのようだった。
「も……もっとくれってばあっ」
 まだペニスを欲しがってゆさゆさと誘惑してくる尻に音高くビンタを張ると、不満げに小さな透かしっ屁をするのもだらしない。草地にはどっぷりと黄身がかって粘り気を帯びた精液がぶちまけられていた。射精してもなお怒張した細長いペニスが息を切らして、オンバーンの股下にぶら下がっていた。しばらくしてやっと呼吸を整えた蝙蝠竜は、ゾクゾクとした笑みを浮かべながら、背中を艶らしく捻らせてコライドンに振り返る。
「そのまま射精してくれてよかったのにぃ」
「……悪い。で、どうだった?」
「んはぁ……ほんっと良すぎ……」
「良かった」
 労わるように指先でアナルの周りをくすぐってやると、感謝するように腰を振り乱した。
「次は絶対中に射精してくれよ」
「おう、また今度な」
「へへっ……!」
 もう一発、オンバーンの尻を叩いてあしらってやってから、その隣で待ち遠しげに従順に尻を突き出しているプテラに目を遣る。お前も忘れてないぞ、と一際強くたわわな尻を平手で殴ってやると、瞬く間にそこに赤い手形が色濃く素直に浮かび上がった。堪らずにそこを舐めてやると、嬉しそうに大臀の肉がくねくねするのだった。
「じゃあ、次行くぞ」
「あっ……はいっ……」
 オンバーンと同じ要領で尻たぶをがっちりと掴んで、萎えそうにもなく真っ直ぐにそそり立ったペニスをそのまま突き挿そうとした。先端が難なくプテラの中に収まろうとした時、突然背後の草むらががさごそと音を立てた。
「妙な声がすると思って来てみれば、大したことしてんじゃねえか!」
 背後から聞こえるその声が、コライドンの頸をねっとりとくすぐる。
「せっかくなんだから、俺も混ぜてくんねえかな?……ええ?」
 怪しげな笑みを浮かべながら、そいつは遠慮もなしにコライドンたちに近づいてきたが、情けないことに、挿入の最中だったために咄嗟に身構えることもできなかった。それどころか、プテラの直腸が急激に締まって、ペニスを思いっきり咥え込むために腑抜けた声が出そうになる始末である。
「気にすんなよ。別に邪魔するつもりじゃねえんだから。ヤるなら3匹よりも4匹の方が楽しいし、絶対気持ちいい、そうだろ?」
 振り向くと、ニタニタとした笑みを浮かべてあのガブリアスがいた。
「何、驚いてんだよ? まあ、大方あの雑魚野郎が何かほざきやがったんだろうが、テメエがコソコソこっちの方へ行こうとしてるのなんざ、丸わかりなんだぜ?……おいおい、そんなに顔強張らせてたらせっかくのチンポも萎えちまうだろ?」
 ずけずけと近づいてくるガブリアスの股からは既に立派なペニスが屹立していた。しかも対になって二本も勃起している様にコライドンは目を瞠ってしまう。ガブリアスはそれを堂々と豪快に見せびらかして至極満足げに振る舞っていた。
「んほぉぉぉおお゛っ!」
 先ほど挿れられたばかりのオンバーンの快楽混じりの悲鳴があがった。ガブリアスは手慣れた動作で、四つん這いになっていたオンバーンの尻穴に二本のペニスを迷わずに突っ込んだ。
「んぉっ……で……でが……じゅぎっ……!」
「とりあえず、今は無礼講としけもうじゃねえか!」
 なあ? 不敵ながら純白な顔つきをこちらに向けながら、ガブリアスは牙をキラリと覗かせた。

ポケモン小説wiki「第十一回帰ってきた変態選手権」仮面予想


 まず個人的総評から。
 単純に、純粋に、小説として読み応えがあったものを挙げるなら『ぬくめどり』『俺とあなたのイケナイ出逢い』『あなたが起きてくる前に』の3作を推す。順当なら、このどれかが優勝するんじゃないか。『ぬくめどり』は直情的な小説である。変態的要素は薄めだが、その分退廃的なポエジーを全体に充溢させ、他にはない個性を見せる。『俺とあなたのイケナイ出逢い』もエロ一辺倒ではなく、丁寧な日常描写の積み重ね、キャラクターの描き込み、プロットの意外性であるとか全体的に会心のまとまり具合。そして『あなたが起きてくる前に』の物語世界の作り込みの練度、先へ先へとぐいぐい読ませるサスペンスの塩梅は白眉だった。小説を読ませるには、如何に読者の心理を掌上で巧みにコントロールするか。その手法は書き手によって様々に現れるのが面白い。
 しかしながら、変態選手権というイベントの趣旨を踏まえると『甘い香りに包まれて』は短編ながらも尖った性癖の勘所を適確な描写で表現していて良かったし、『蛍に焦がれて蝉が啼く』の命の刹那のきらめきを突き放すような淡々とした描写で書ききったことも忘れがたく感じる。『血潮』は違う方向性での変態であるが、荒涼としたゴア描写に堅実な書き手の性癖を見せつけている。『フェアリーテール』『琥珀色のジャム』も書き手の思いがストレートに書き表されていて、小説を書くことを心から楽しんでいるのが感じられた。
 ここからは余談だし、自分の感覚だから軽く読み飛ばしてほしいが、ものづくしとでも言おうか、何匹ものポケモンとの性描写をこれでもかこれでもかと積み重ねるタイプの小説は性に合わない。書く側として考えてみれば、こういう総覧的なものを表現しようとすると、どうしても短編アンソロジーのようなものになってしまい、物足りないように思うのである。一つ一つが独立したものとして読めるようにきっちり書き込めればいいのだが、そうすると到底大会に出せる文量ではなくなってしまうから難しい。ただ、そういう中でも『お姉ちゃんと8匹の弟たち』はブイズものという体裁に合わせて、手堅くエロを書けていた。変態という観点からすれば、こちらも十分優勝に値する作品ではないだろうか。
 何に投票したかは、結果がはっきりするまで言わなくてもいいだろう、ということで私的仮面予想。わからなかったもの4作を除けば、概ね当たってるんじゃないかと勝手に自信を持っているのでどーぞよろしく……感想会などあればそのうち簡単な感想などもまとめておこうかな、と思う。

 

怨恨の宴→???
ぬくめどり→仁王立ちクララ
お姉ちゃんと8匹の弟達→???
寮のウラガワ→???
蛍に焦がれて蝉が啼く→pt
俺とあなたのイケナイ出逢い→P-tan

知っておこう→リング
血潮→まーむる
甘い香りに包まれて→root
そして彼らは結ばれる→カゲフミ
あなたが起きてくる前に→水のミドリ
琥珀色のジャム→慧斗
日捲り兎→Lem
君の涙目にポケウォッシュ→???
フェアリーテール→からとり
セックスしたポケモンのみを繰り出せるダブルバトル→けもにゃん

雑記231107-08

 平日は飯や風呂の前に寝てしまうか、寝坊しないギリギリの時間まで酒を飲んでいるかのどちらかである。このところは前者の割合がジワジワと増えつつある。健康的かもしれないが、何故か敗北感がある。
 このような夜だから、執筆のペースも偏りがある。むしろ、朝の出勤前や、出勤電車の時間、あるいは昼食をさっさと食い終えて余った時間の方が集中できるし、進捗もある。が、それにしても遅々たるものではある。だが、せめて「私は(同人レベルの範囲ではあるが)小説という創作をしている」というログインボーナスのようなものを日々得なければ甲斐がないではないかと、愛機のiPad Proを開くことはやめない。
 TLを覗けば誰かしらの創作論のようなものが流れている。共感のいいねやリツイート(余談。自分はリツイート、という言い方で慣れてしまったからいまさら厳密にリポストと言っても仕方ない気がする。だって、今もあるネット掲示板にしても「5ch」とわざわざ言ったところでしょうもないじゃないかと)が4桁、時には5桁とある。
 けれど、書かない人間が、書く素振りだけをして一向に書こうとしない人間が創作を語ったところで何になるだろう。書かない、ということにしても、書くと同様かそれ以上の強靭な意図をもってなされなければならないと自分は思っているので、そんな中途半端なことをしているくらいなら、創作への未練など鼻から断ち切ってしまえ、次から次へと流しそうめんのように流れていく絵に満足して肥え太っていろ、馬鹿者め、と吐き捨てたくもなる……けれど、こんなことをしれっと書いてしまえるのは、今晩は寝坊しないギリギリの時間まで酒を飲んでいる夜だからかもしれない。
 自分にせよ、そんなことを偉そうに語れるほど書いているのか。最近、個人的に会った画家の人などは、朝の10時から夜の6時まで、ほぼ毎日アトリエにこもって絵を描き続けていると話していた。自分の集中力では到底日に8時間熱中して書き続けるなどできそうもないことである。もっと厳格な昭和期のとある画家などは、日に12時間描くことを自らに課し、朝の6時から(食事やら散歩やらを挟みつつではあったが)夜の9時まで絵を描くという生活を送っていたそうである。ますます気の遠くなる話である。僕なんかは同じ時間を、書きあぐねていたり、創作から逃避して不貞寝したりパラパラと本のページをめくったり(そういう時の読書はやたらと弾む)しているというのに……
 以上、アリバイのような書き散らしである。

雑記231104

 

人獣戯画の美術史 (isの本)

人獣戯画の美術史 (isの本)

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 鹿島茂『人獣戯画の美術史』という本を読んだ。ひと昔前の本を近所の古本屋で見かけ、曲がりなりにもケモナーを自称しているのだから読んでおこうと思った次第。
 絶対王政期のフランスのモラリスト、ラ・フォンテーヌの『童話』を足がかりにしながら、19世紀のフーリエ主義者(マルクス主義登場以前の社会主義者の一派)であるアルフォンス・トゥスネルという思想家が唱えた「情念動物学」という(現在から見れば)トンデモな学説を半ばツッコミながら半ば真剣に紹介するという、いかにも鹿島茂的な本で、読み物としても面白い(遅読の自分が半日足らずで読了するのだからそれは間違いがない)。
 「情念動物学」、突飛な思想ではあるのだが根底にある考えは興味深い。人間と動物に性格的類似性を見てとるという考え方は古来あったものではあるが、これがトゥスネル(もとい師匠のフーリエ)の場合は少し変わっていて、人間・動物ともに「動物性」というものを持っていて、動物にはその「動物性」をいっそう色濃く見て取ることができるという。そこまではいいとして、ならば動物を観察しその性質を調べ上げてしまえば、人間のこともわかったも同然である、なぜなら両者とも「動物性」を持っているという点では同じだから、と言い切ってしまうところが面白い。動物を通じて、そのまま人間を理解しようとする学問(?)である「情念動物学」。鹿島の記述を読む限りでは、実際のところは人間の性質を動物に当て嵌めているように見えなくもないし、奇書特有の謎論理に支配されてはいるものの、そこで描写されている動物の姿はケモナー的には興味深い(俗に言う「歓喜」とはまた違うのだが)。
 この本のもう一つの肝(というか鹿島が一番喋りたいこと)は、本文中でたびたび図版が掲載されている挿絵画家J.J.グランヴィルだ。先日ケモナーたちのあいだで話題になっていた『鳥類弁護士の事件簿』のキャラデザの元ネタにもなった19世紀の画家である。1章ほどページを割いてグランヴィルについて語られていたのだが、それを読んでいくとなぜあのゲームでグランヴィルの『動物たちの私生活・公生活情景』が引用されたのか、というのが見えてくる。グランヴィルの動物挿絵がいかに画期的であるか。それをラ・フォンテーヌ『寓話』に載せられた挿絵の変遷を辿りながら解説される。最初期の挿絵は登場する動物たちは本物の動物としてごく普通に表象されていたのが、グランヴィルはそこに奇想を加える。人間の服装を見にまとい、二本足で立ち、しかし姿は動物、そのような生き物として表現したのである。
 「動物であって動物ではなく、人間であって人間でない」そういう「人獣」という概念が、グランヴィルの挿絵とともに現れた。「人獣」はケモナーの考える「ケモノ」の概念にかなり近い存在と言えるだろう。実際『寓話』の挿絵も、グランヴィル以降こうした「人獣」的な描写が主流になっていく(同時代のギュスターヴ・ドレもやはりグランヴィルの影響を受けているのだという)。彼の挿絵は、動物表現におけるコペルニクス的転回だったのである。その想像力を支えていたのが人間と動物に共通した「動物性」を見出すフーリエの特異な思想であった……ということで全ての話が繋がるのだ。
 本書で取り上げられたトゥスネルの思想やグランヴィルの動物挿絵の源流にあるフーリエの『四運動の理論』を、今後ケモノ文学という文脈から読み解くのも面白いのではないか……とこれもまた突飛な思いつきであるけれど、頭の片隅にでも留めておこうか。