ポケモン小説wiki「第十一回帰ってきた変態選手権」仮面予想


 まず個人的総評から。
 単純に、純粋に、小説として読み応えがあったものを挙げるなら『ぬくめどり』『俺とあなたのイケナイ出逢い』『あなたが起きてくる前に』の3作を推す。順当なら、このどれかが優勝するんじゃないか。『ぬくめどり』は直情的な小説である。変態的要素は薄めだが、その分退廃的なポエジーを全体に充溢させ、他にはない個性を見せる。『俺とあなたのイケナイ出逢い』もエロ一辺倒ではなく、丁寧な日常描写の積み重ね、キャラクターの描き込み、プロットの意外性であるとか全体的に会心のまとまり具合。そして『あなたが起きてくる前に』の物語世界の作り込みの練度、先へ先へとぐいぐい読ませるサスペンスの塩梅は白眉だった。小説を読ませるには、如何に読者の心理を掌上で巧みにコントロールするか。その手法は書き手によって様々に現れるのが面白い。
 しかしながら、変態選手権というイベントの趣旨を踏まえると『甘い香りに包まれて』は短編ながらも尖った性癖の勘所を適確な描写で表現していて良かったし、『蛍に焦がれて蝉が啼く』の命の刹那のきらめきを突き放すような淡々とした描写で書ききったことも忘れがたく感じる。『血潮』は違う方向性での変態であるが、荒涼としたゴア描写に堅実な書き手の性癖を見せつけている。『フェアリーテール』『琥珀色のジャム』も書き手の思いがストレートに書き表されていて、小説を書くことを心から楽しんでいるのが感じられた。
 ここからは余談だし、自分の感覚だから軽く読み飛ばしてほしいが、ものづくしとでも言おうか、何匹ものポケモンとの性描写をこれでもかこれでもかと積み重ねるタイプの小説は性に合わない。書く側として考えてみれば、こういう総覧的なものを表現しようとすると、どうしても短編アンソロジーのようなものになってしまい、物足りないように思うのである。一つ一つが独立したものとして読めるようにきっちり書き込めればいいのだが、そうすると到底大会に出せる文量ではなくなってしまうから難しい。ただ、そういう中でも『お姉ちゃんと8匹の弟たち』はブイズものという体裁に合わせて、手堅くエロを書けていた。変態という観点からすれば、こちらも十分優勝に値する作品ではないだろうか。
 何に投票したかは、結果がはっきりするまで言わなくてもいいだろう、ということで私的仮面予想。わからなかったもの4作を除けば、概ね当たってるんじゃないかと勝手に自信を持っているのでどーぞよろしく……感想会などあればそのうち簡単な感想などもまとめておこうかな、と思う。

 

怨恨の宴→???
ぬくめどり→仁王立ちクララ
お姉ちゃんと8匹の弟達→???
寮のウラガワ→???
蛍に焦がれて蝉が啼く→pt
俺とあなたのイケナイ出逢い→P-tan

知っておこう→リング
血潮→まーむる
甘い香りに包まれて→root
そして彼らは結ばれる→カゲフミ
あなたが起きてくる前に→水のミドリ
琥珀色のジャム→慧斗
日捲り兎→Lem
君の涙目にポケウォッシュ→???
フェアリーテール→からとり
セックスしたポケモンのみを繰り出せるダブルバトル→けもにゃん