PKMN×PKMN小説を求めて(3/?)

 トレーナーのエロを含まない、純粋なPKMNのカップリング小説が本格的に盛んになったのは、書き手と読者のコミュニティがネットの各所で確立されていった2000年代後半であることは、間違いがないと思う。何より重要なのは、作品を保管していつでも閲覧できる場所が、この時期になって初めて整備されたということである。
 そのおかげで、2020年になった今も、当時書かれた熱気ある作品群にアクセスすることができるわけだが、そうなると、現状残されている作品の中で古いものは何か、ということを調べてみたくなってしまった。
 「pixiv小説」については前回書いているのでいいとして、「小説スクエア」だが、設立は2005年と小説サイトとしては最古なのだが、検索してみる限り、2000年代のものを見つけることができなかった。古くとも世代としては『BW』〜『XY』の辺りである。本当はもう少し時間をかけて調べるべきなのだろうが、「スクエア」は基本的にカップリング要素を重視しないところなので、最古を探すという、ここでの自分の関心とは少しずれる。
 すると、残ったのは「小説wiki」の前身である「PKMNのエロ小説」スレと「PKMN同士総合スレ」となるし、設立は前者の方が半年早いため、そちらを見ることにするが、一応「PKMN同士総合スレ」も保管庫と過去ログ含めて確認すると、本格的なSSは2スレ目の『ゲンガー♂×サーナイト♀(ポケダン救助隊・探検隊設定)』が初だった。日付は2008年2月16日なので、スレ立てから半年近く経っている。
 本題の「PKMNのエロ小説」スレだが、初期はトレーナーもののエロが混在しているものの、スレの性質はかなりストイックであり、早い段階から多くの字書きが集まって、作品の投稿や交流が行われていた。同じネット掲示板でもカジュアルな2ch系と、より先鋭的なふたば系の違いだろうか。333氏の『ピカチュウ♂×イーブイ♀』もスレの最初期に投稿されている。1話の投稿が2007年5月4日、ただし完結は少し時間が空いて、7月1日。その間にも次々と他の作者が参入しているが、明確に完結したのも本作が初めてである。
 この方に触発されるように、続々とポケ字書きたち(その中には現在も活動され、個人的にも私淑しているK氏も含まれている)が現れ、競うようにSSを投稿したことで、333氏の作品を中心にそれらの作品をwikiにまとめようというムードがごく自然に出来上がり、6月11日には旧「PKMN小説wiki」が成立することになる。