2022年自創作振り返り⑤『ライ麦畑で踊れ』編(おまけ:『百代の用心棒』裏話)

ライ麦畑で踊れ』ロケ地(?) ※画面に映っているのはライ麦じゃなく稲穂です、念のため

 

振り返るも何もとっくに年越してるじゃねえか、というのはご容赦いただきたいのです。やろう、やろうと思って平気で1ヶ月、数ヶ月、1年と過ぎ去ってしまうのは年を取るせいなのでしょうか、実際、光陰は年を取れば取るほど矢の如くですね。

とはいえ、昨年からの宿題を溜めておくわけにもいかないし、ちょうど先だって書いたものとの関連もありますので、そういう踏ん切りで振り返りを再開しようと思います。暇な向きはしばしお付き合いを……

 

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ライ麦畑で踊れ』は昨年ポケモン小説wikiで行われたイベント「第十八回短編小説大会」に出品する予定だったものです。結論から言えば、今作は期間中に発表することができなかったために、リタイア扱いとなっております。おまけに、応募要項では1万字以内という指定があるにもかかわらず2万字を超えているのですから、二重にイレギュラーを犯しているわけで、そういう意味では失敗作ということになります。

小説の肝になっているのは2点。1つはダークライとヒスイドレディアの悲恋物語(ちょっとギミックは仕掛けてありますが)、そしてもう1つはヒスイジュナイパーの放浪譚、とでも言うべきもの。大まかに成り立ちを振り返れば、前者を軸にした話を考えていたけれども、小説としてうまく語れず思案していたところに後者の要素を取り入れることを思い立った、というところでしょうか。

 

ライ麦畑で踊れ』ロケ地(?)2  舞台の戦場近辺より金色の平野を見渡す

ただジュナイパーの素性には触れ過ぎず、あくまでも連載第1回目のような雰囲気で完結型の物語を綴ろうとしていました。ジュナイパーは原種も含めてそうですが、クールな中にどこか間の抜けた感じのあるキャラクターに個性があると思っています。他の御三家ポケモンには見られない「抜け感」をどう描くか、そこにジュナイパー好きそれぞれの個性が出るんじゃないか。それで僕はああいう形でジュナイパーの「抜け感」を表現してみたわけです。同じシチュエーションでもヒスイバクフーンやヒスイダイケンキではああはなりません。ヒスイジュナイパーだからこそ成立する何かというのがあって、それに従って描写を重ねたまでのことでした。

ただ、今作のジュナイパーについては、今の段階ではまだあまり多くを語りたくない。なぜなら、彼を狂言回しのようにして、ヒスイ地方の物語を総体的に綴りたい、そんな野望を夢見ているからです。もう『SV』が発売してしまって、世代交代感が凄まじいですが、『LEGENDSアルセウス』ってまだ発売から1年も経っていないんですよ? ポケモン四半世紀以上の歴史においても唯一無二と言えるあの世界を過去のものと言い切るには、ファストファスト言われる世情にあれど惜しいのです。そしてそれを語るためには、超常的な存在である語り手が必要とされる……そういう点でジュナイパーは適役なんだと思います。

ただ、一つや二つはハッキリさせておくべきことはあるでしょう。例えば、なぜ肝心の場面でジュナイパーが歌ったのがTHE BOOMの『風になりたい』だったのか? 時代考証的な話は脇に置きつつも、答えは単純であり、その時点で僕がヘビロテしていた曲だったからです。そして、そもそもなぜ「ライ麦」なのか? 大会のお題である「ライ」に合わせたということもありますが、書き出しのところで『ライ麦畑でつかまえて』に絡めて、ジュナイパーが自分の名前を「ホールデン・コールフィールド」と名乗る、あのくだりをやりたかったからです。時代考証的な話は脇に置きつつも!

あと、なぜ「ライ麦畑で踊る」のか? これは、直近でフランソワ・オゾンというケベック出身の映画監督の『Summer of 85』というBL映画を観た影響です。この映画の原作小説のタイトルが『おれの墓で踊れ』何です。タイトルだけで想像力がグングン湧いてくるでしょう? あのシチュは全部そっから出てきてます。細かえことはいいんだよ! 的にそん時やりたいことをやったという思いです。

 

面白かったです。物悲しくはあるんですけど、前向きな物語です。あと、どうでもいいんですけど「ライ麦」ってワード思いついたのは『トップガン マーヴェリック』を観ている最中でした、へ?

 

そして、『ライ麦畑で踊れ』から半年足らずして、今度はこのジュナイパーを中心に据えた『百代の用心棒』を書くことにしたのでした。両作を読んでいれば、関連性は何となく察知できるものとは思いますが、どちらもイレギュラーな投稿の仕方をしているため、知らなくても仕方がない状態ではありますが……。9日も遅れて、なんかすんませんでした。

とかく、『ライ麦畑で踊れ』はダークライを中心軸にした物語であったため、今度はジュナイパーをメインにしながら話を進めることをテーマにしています。カッコいいところと抜けているところをバランスよく小説の中で描ければなーという気持ちです。結局、こないだの仮面小説大会では未完成のまま投稿してしまいましたが。細かいところなんかは、完結してから改めて、たぶん年末辺りにまとめてお話するかと思います。そこは適当にゆるりとお待ち下さい。

 

……カッコいいですねえ